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CEMとは?基礎知識とCRMとの違い、成功のポイントを解説

2024.01.25

CEMの特徴 CRMとの違い 図解
デジタルマーケティングでは、顧客と良好な関係構築を目指す手法として「CRM(顧客関係管理)」が活用されてきました。しかし近年、新たに「CEM(顧客経験管理)」という手法に注目が集まっています。
Point

この記事では、CEMとは何なのか、基本的な概念と活用のメリット、実践のポイントを解説します。

目次
  1. 1.CEMとは
    1. 1-1.CEMの目的と役割
    2. 1-2.CEMの普及とその重要性
  2. 2.CEMとCRMの違い
    1. 2-1.CRMの定義と目的
    2. 2-2.CEMとCRMの比較
  3. 3.CEMの主要な要素
    1. 3-1.カスタマーエクスペリエンス
    2. 3-2.顧客ロイヤルティ
    3. 3-3.NPS(Net Promoter Score)
  4. 4.CEM実践のメリット
    1. 4-1.ファン化の促進
    2. 4-2.LTVの向上
    3. 4-3.口コミの増加
  5. 5.CEMを成功させるためのポイント
    1. 5-1.指標の設定
    2. 5-2.効果測定と可視化
    3. 5-3.継続的な改善と最適化
  6. 6.CEMで用いられるツール5選
    1. 6-1.ヒートマップツール
    2. 6-2.セッションリプレイツール
    3. 6-3.VoC管理・分析ツール
    4. 6-4.AIチャットボット
  7. 7.CEMでビジネスをさらに加速させる

1.CEMとは

CEMと書かれたボード

CEMとは「Customer Experience Management」の頭文字を取った用語で、「顧客経験管理」を意味します。CEMは顧客が商品・サービスの購入や利用する際、どのような体験・経験を得るのかを想定・管理することを指します。
CEMは顧客が商品やサービスを選択・購入・使用・使用後までのプロセス全体における経験を、良好に保つために用いられます。具体的には、製品の品質、価格、便利さ、サービスの提供方法など、多岐にわたる要素に関与します。

1-1.CEMの目的と役割

CEMの目的は、顧客満足度の向上によってロイヤルカスタマー(企業・ブランドに信頼を寄せてくれている顧客)を増やし、収益性・ブランド価値の向上を目指します。
そのため、CEMでは企業活動とマーケティング活動をリンクさせるための方法論として、「LTV(Life Time Value)」の概念を重要視します。LTVは、一人の顧客が生涯にわたって企業にもたらす利益を表す言葉で、CEMを通じてLTVの最大化を目指しています。

1-2.CEMの普及とその重要性

今日、スマートフォンの普及などデジタル化の加速によって、顧客との接点は増え続けています。企業はただ製品やサービスを提供するだけではなく、顧客が体験する全てのプロセスを管理し、最適な体験を提供することが求められています。CEMはそのための戦略として、近年高い注目を浴びるようになりました。
また、CEMを活用することで顧客のニーズを正確に把握し、それに応じたサービス提供が可能となります。これにより、長期的な顧客ロイヤルティを確保できるという点でも、CEMの活用は重要だと考えられています。

2.CEMとCRMの違い

黒と白のお面

顧客満足度や顧客ロイヤリティの向上として、長年用いられてきた手法にCRM(顧客関係管理)があります。CEMとCRMには、どのような違いがあるのでしょうか?

2-1.CRMの定義と目的

CRMは「Customer Relationship Management」の略で、企業が顧客との関係を最適化し、利益を最大化するための戦略的なアプローチを指します。具体的な目的としては、以下の三つが挙げられます。
顧客満足度の向上:顧客のニーズや要望を理解し、それに応じたサービスを提供することで、顧客満足度を高める。
顧客ロイヤルティの強化:満足した顧客はリピート購入を行う傾向にあり、長期的な関係を築くことで生涯価値を最大化する。
事業の効率化:顧客情報の一元管理により、マーケティングや営業活動を効率的に行う。

2-2.CEMとCRMの比較

CEMとCRMの違いは顧客との関わり方にあります。CRMは主に、既存顧客の購買データから優良顧客の属性を分析し、売上向上を目指す手法です。一方で、CEMは既存顧客だけでなく潜在顧客も含めて「ニーズの掘り起こし」を目的に、自社商品を選び続ける理由を分析・創出します。その上で、商品購入・利用の経験価値を高め、顧客との長期的な関係構築を目指します。

3.CEMの主要な要素

CEM Customer Experience Management と印刷されたキーボードのキートップ

CEMにおける主要な要素は、カスタマーエクスペリエンスと顧客ロイヤルティ、NPSの3つです。

3-1.カスタマーエクスペリエンス

カスタマーエクスペリエンスは、顧客が製品やサービスを利用する過程で得られる心地よい感動や満足感、反対に失望感や不満といった、顧客の心理的・感覚的な価値を指します。
例えば、ある商品が機能として優れていても、使用中にストレスを感じる操作性や、使い終わった後に満足感がなければ、顧客はその商品に対する評価を下げてしまうでしょう。このように、商品やサービスの物理的な価値だけでなく、顧客が体験する全体的な満足感の向上がカスタマーエクスペリエンスに直結します。
最近では、顧客満足度を高めてリピート購入や口コミによる拡散効果を目的に、カスタマーエクスペリエンスの向上を重視したマーケティング戦略を展開する企業が増えています。

3-2.顧客ロイヤルティ

顧客ロイヤルティとは、顧客が特定の商品やサービスに対して抱く、継続的な信頼や好意を指します。顧客ロイヤリティを高めることは、企業にとって長期的な収益を上げる重要な戦略とされています。
CEMでは、顧客ロイヤルティを、NPS(後述)などの指標で定量的に測定し、同指標の向上によって顧客ロイヤルティを高め、ロイヤルカスタマーの創出を目指します。

3-3.NPS(Net Promoter Score)

NPS(Net Promoter Score)は、日本のみならず世界中の企業で用いられている指標の1つで、顧客満足度の調査でよく用いられます。
NPSでは「商品・サービスに満足していますか?」「商品・サービスを家族や友人に薦めたいですか?」といったアンケート項目を用意します。アンケート回答者は各項目に0(全く思わない)〜10(強く思う)までのスコアで回答します。項目の種類や回答方法は調査内容によって変化します。スコアではなく自由記述で回答してもらうケースも多いです。
アンケート結果に対して、スコアの数値で回答者を以下の3種類に分類します。なお、点数による分類も各企業や調査内容によって変動します。

  • 「批判者(デトラクター)」0〜6点の回答者。商品・サービス・ブランドにいい印象を抱いていない。
  • 「中立者(パッシブ)」7〜8点の回答者。一定の満足は得られている。しかし、競合他社の商品・サービスも検討している。
  • 「推奨者(プロモーター)」9〜10点の回答者。商品・サービス・ブランドの熱狂的なファン。

CEMでは、NPSの調査によって顧客満足度を把握し、より高いスコアを目指すための施策を実行します。

4.CEM実践のメリット

MERITと書かれた黒板

CEMの活用は、主に3つの観点でメリットがあるとされています。

4-1.ファン化の促進

CEMの実践により最も重要な成果として「ファンの獲得」が挙げられます。既存顧客や潜在顧客が自社の製品やサービスをに愛着を持ち、それがブランドへの信頼となり、継続的購入につながります。

4-2.LTVの向上

CEMの実践はLTV(Life Time Value)の向上につながります。CEMでは個々の顧客が感じる満足度を数値化し、ロイヤルティを高める活動を行います。それにより、顧客との長期的かつ良好な関係構築を目指し、結果としてLTVにつながります。

4-3.口コミの増加

CEMによって良好なカスタマーエクスペリエンスが提供されると、顧客はSNSやオフラインでの会話を通じて、その経験を他者に伝えてくれるようになります。CEMは、口コミという新たな顧客を獲得するための強力な宣伝活動を生み出す手法でもあるのです。

5.CEMを成功させるためのポイント

POINTと書かれたノート

CEMを成功させるには、以下の3つのポイントが重要です。

  1. 指標の設定
  2. 効果測定と可視化
  3. 継続的な改善と最適化

5-1.指標の設定

CEMを成功させるためには、効果測定を可能にする「指標の設定」が重要です。具体的な指標としては、以下のようなものが挙げられます。

  1. NPS(Net Promoter Score):顧客ロイヤルティを数値化した指標です。お客様が自社商品やサービスを他人へ推奨する確率を測定し、長期的な顧客満足度を測ります
  2. LTV(Life Time Value):顧客生涯価値。LTVの計算方法はいくつかあり、メーカーや小売業などは「購入単価 ×収益率× 購入頻度 × 利用(購入)期間」で計算します。サブスクリプションのサービスを提供している企業は、「月額・年額料金 × 利用期間」で計算します。
  3. CSAT(Customer Satisfaction Score):商品やサービスに対する、一定のタイミングでの顧客満足度を評価します。
  4. CES(Customer Effort Score):顧客が商品やサービスを利用する際の労力(困難さ)を評価し、顧客のネガティブな感情を測ります。

5-2.効果測定と可視化

CEMの導入効果を確認し、その結果を可視化します。効果測定では、先ほど紹介した指標を用いることが一般的です。各指標で定期的な計測を行い、CEMによる効果を可視化することで、CEM活動が顧客の行動や意識にどのように影響しているのかを把握できます。

5-3.継続的な改善と最適化

CEMの成功には、顧客経験の継続的な改善と最適化が必要不可欠です。これは一度設定した戦略や手法を固定させるのではなく、定期的にそれらを見直し、必要に応じて改善や最適化を行うことを意味します。
具体的には、ヒートマップツールやNPS(Net Promoter Score)ツールを使用して収集したデータをもとに、ウェブサイトの操作性の改善やサービスの質の向上などを図ります。また、顧客からのフィードバックや意見も大切にし、それらを製品開発やサービス改善に生かすことも重要です。
これらのアクションは、顧客満足度の向上と顧客ロイヤルティの強化に繋がります。結果的に、CEMの効果的な実践と成功につながるといえるでしょう。

6.CEMで用いられるツール5選

ノートパソコンのキーボードを打つ男性

CEMの実践では、多くのツールが用いられています。代表的なツールを5種類紹介します。

6-1.ヒートマップツール

ヒートマップツールは、Webサイトを訪れたユーザーの視点が、Webページのどこにあるのかを視覚的に表示してくれます。ヒートマップツールを用いることで、ユーザーが注目して見ているコンテンツやボタンなどをチェックでき、Webサイトの改善に活かせます。

6-2.セッションリプレイツール

セッションリプレイツールは、ユーザーがWebサイトで行った操作を録画してくれます。録画データを活用して、「どのような導線でページを閲覧しているか」「どの操作でつまづいているか」を確認でき、サイトのどの部分を改善すればいいかが特定しやすくなります。

6-3.VoC管理・分析ツール

VoCとは「お客様の声(Voic of the Customer)」の略です。顧客からの問い合わせやフィードバックを統合管理・分析することで、顧客の生の声を製品・サービスの改善に活かせます。

6-4.AIチャットボット

チャットボットは、予め用意されたプログラムを用いて、顧客からの問い合わせにリアルタイムで自動対応するコミュニケーションツールです。近年はチャットボットにAIが搭載され、顧客からの問い合わせへの対応力が高まっています。
チャットボットは24時間365日で顧客からの問い合わせに対応できます。時間を問わず顧客に情報提供できるようになり、顧客満足度向上につながります。人的コスト削減や業務効率化という観点で、企業にとってもメリットが多いです。

7.CEMでビジネスをさらに加速させる

仮想的なチャートと近代的な高層ビル

CEMは既存顧客・潜在顧客の「経験」に着目することで、顧客満足度やLTVの向上を目指す手法です。
現在のビジネスをさらに加速させる方法を模索している人は、今回紹介したポイントを参考に、CEMの導入を検討してみてください。

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