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この記事では、ポストパーチェスの概要や、これを改善することで得られるメリットなどについて解説します。
- 目次
1. ポストパーチェス(購入後体験)とは
ポストパーチェス(購入後体験)とは、ECサイトで商品を購入した後のユーザー体験を指す言葉です。商品の出荷に関する通知メールや、返品・交換などのサービスにより、ポストパーチェスは形成されます。
「商品購入までの戦略」に力を入れていても、「商品購入後の戦略」にまで注力するECサイトはまだ多くありません。それゆえ、ポストパーチェスの改善は、競合と差別化を図るうえで重要な取り組みになるでしょう。
ポストパーチェス分野で最も大きなシェアを誇る米国企業「Narvar」のサービスは、すでに1,200を超えるグローバルブランドに利用されています。今後、日本においてもポストパーチェスに注力する企業は増えていくと予想されます。
2. 代表的なポストパーチェスの改善施策
ポストパーチェスを改善するための代表的な施策は以下の5つです。
①注文完了に関する通知メールの送付 |
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②出荷完了に関する通知メールの送付 |
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②配送状況を確認できるページの開設 |
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③商品の返品・交換・修理を行う仕組みの構築 |
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④商品の満足度などのアンケートメールの送付 |
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⑤カスタマーサポート/アフターサービスの充実 |
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3. ポストパーチェスを改善するメリット
ポストパーチェスを改善するメリットは、主に4つあります。
- 顧客ロイヤリティの向上
- マーケティングの効率化
- 自社ブランディングの強化
- ES(従業員満足度)の向上
(1)顧客ロイヤリティの向上
ポストパーチェスの改善による最も大きなメリットは、顧客ロイヤリティの向上にあります。
例えば、ポストパーチェスを改善する代表的な施策として、商品がいつ届くのか確認できる専用ページを設ける施策があります。これにより、顧客は商品購入後の疑問・不安を解消することができます。このような「商品購入後も安心できた」という顧客の体験は、企業に対する信頼感(顧客ロイヤリティ)につながります。
(2)マーケティングの効率化
ポストパーチェスを改善する施策のなかには、マーケティングと相性が良く、リピート購入を直接促しやすい施策もあります。
具体的には、決済完了・商品発送の通知メール、商品到着後に送るお礼メールなどで関連商品をリコメンドする施策が挙げられます。こうした商品購入後のメールは、通常のDMなどよりも開封率が高いため、効率的に広告を行うことが可能です。加えて、商品購入直後は顧客の感情が高ぶっており、レコメンドが機能しやすいといわれています。
(3)ブランド力の強化
ポストパーチェスは、注文商品の出荷完了の通知メールや、注文商品の追跡ページなど、さまざまなタッチポイント(企業と顧客の接点)において形成されます。これらのタッチポイントでは、注文商品の情報の提供を行うだけではなく、自社ブランドの強化を行うことも可能です。
例えば、注文商品の追跡ページで、自社ブランドに合ったデザインを施したり、商品の背景・ストーリーなどの教育コンテンツを設置したりする施策が挙げられます。これにより、自社ブランドの価値観・イメージが顧客に浸透すれば、商品が選ばれやすくなる、リピート購入が増えるなどのメリットが得られます。
(4)ES(従業員満足度)の向上
ポストパーチェスの改善は、ES(従業員満足度)の向上にもつながります。ここでいうESとは、福利厚生やマネジメント、働きがいなどにおける従業員の満足度のことです。
注文商品の配達状況に関する情報提供や、配達に不具合が生じた際の連絡などを自動的に行う仕組みを構築することで、自動化することができない、付加価値が高い仕事を従業員にまわせるようになります。これにより、働きがいが向上すれば、社内のESは向上します。
4. ポストパーチェスを改善する際のポイント
ポストパーチェスの改善施策を導入する際は、以下の3つのポイントを抑えることが重要です。
- 自社内で配送情報を提供する
- パーソナライズを行う
- 多様な返品・返金方法を用意する
(1)配送情報を一気通貫で管理・提供する
現在、サイト内で配送状況を確認できるように設計されていないECサイトは少なくありません。多くの場合、配送会社のサイトで配送状況を確認する形がとられています。
しかし注文・出荷完了通知メールから、その都度の配送状況の共有まで、一気通貫で管理・情報提供することは非常に重要です。これにより、顧客との接点を増やし、マーケティングやブランディングを効率的に行えるようになります。商品の返品・交換・修理まで社内で行える仕組みを整えれば、さらに自社ブランドに対する信頼感・愛着を向上させることができるはずです。
(2)パーソナライズを行う
ポストパーチェスの改善施策を通じて効率的にマーケティングやブランディングを行うには、パーソナライズが必要になります。
パーソナライズとは、顧客の属性や行動履歴に基づいてニーズを分析し、マーケティングなどを最適化する手法のことです。ポストパーチェスにおいては、通知メールやお礼メールを送付する際に、顧客の購入履歴・サイト内の行動履歴などのデータに基づき、最適なレコメンドを行うパーソナライズが特に重要になります。
(3)多様な返品・返金方法を用意する
返品時のポストパーチェスにおいては、多様な返品・返金方法が用意されていることが重要です。例えば、自宅や郵便局での集荷だけではなく、コンビニや宅配用ロッカーで集荷できるような仕組みがあると、ユーザーのポストパーチェスは改善されるはずです。返品が容易になり、返品数が増加すると、その分「返品理由の分析」の解像度が上がるというメリットもあります。この分析に基づき、顧客が不満を感じた点を改善することができれば、自社のEC事業をさらにブラッシュアップすることができるでしょう。
返金においては、現金やクレジットカードのほか、ECサイト内の電子ギフトによって返金する用意する手法もあります。電子ギフトによる返金の用意は、顧客の利便性の向上だけではなく、自社サイト内の再購入を促す効果も期待できます。
5. ポストパーチェスの改善で競合と差をつける
ポストパーチェスは、顧客ロイヤリティの向上など、さまざまなメリットにつながる重要な要素です。
現在、ポストパーチェスを意識したEC事業はまだ少ないので、競合と差をつける意味でもポストパーチェスの改善は重要でしょう。この記事を参考に、ぜひ自社ならではの改善施策を見つけていただけたらと思います。
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