株主・投資家情報(証券コード:8165)
千趣会の取組みや業績を早く、わかりやすく。
最終更新日:2024年07月05日
株主の皆様には、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
2023年度は「通信販売事業のデジタルシフト」「収益構造の変革」「パートナー企業との共創」の3つの重点施策に取り組んできました。なかでもカタログおよびインターネットを中心とする通信販売事業は、収益性の向上と成長基盤の構築を目的に、高コストのカタログ中心からデジタルと融合させたプロモーションへのシフトを進めました。
しかしながら2023 年度はまだ道半ばで、カタログ配布部数を削減したことにより費用は低減したものの、それに伴う売上高減少をデジタルマーケティング施策では補いきることができませんでした。結果、当社グループの連結売上高は492億26百万円(前期比16.4%減)、営業損失は55億57百万円(前期は81億39百万円の営業損失)、経常損失は56億79百万円(前期は78億89百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は47億82百万円(前期は109億76百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
2024年度につきましては、2025年度における黒字回復を目指し、「通信販売事業の事業構造改革」「全社における収益改善の実行」「共創の深化・拡大」を改革の柱とし、取り組みを進めていきます。
通信販売事業においては、特に「デジタルとカタログとの融合によるシナジー効果の向上」がかねてから大きな経営課題の一つでしたが、道筋も見えてきました。デジタルとカタログとでは、求める情報も、購入に至るプロセスも全く違う中、どのようなお客様にどのようなチャネルでご提案していくのがよいか。加えて、他社にはない「千趣会らしさ」をどう訴求していくか。さまざまな観点から検討を加え、一つひとつ検証しながら進めているところです。
私たちの企業理念には「企業の存在理由は社会貢献にある この真理に忠実であることに依ってのみ会社は繁栄する」とあります。これは創業時からの言葉であり、私たちの事業の根幹となるものです。
その理念を表す新しい取り組みの一つとして、「つくって終わり」「販売して終わり」ではない、商品の使用中、使用後まで考えた使用価値の最大化への取り組みがあります。例えば不要品宅配買取サービス「kimawari fashion」は、お客様が愛着を持って使用された商品を、その気持ちとともにつぎの人、つぎの役割、つぎの世代へまわすというコンセプトから生まれました。2022年11月の本格稼働開始からの累計申込件数は13.5万件を超え、リピート率は約60%にも及んでいます。二次流通を通じて循環型社会の構築に貢献するだけでなく、サービス利用後に次のお買い物をお楽しみいただき、お客様とのエンゲージメントを深めることにもつなげています。
当社のお客様は商品への愛着が深く、また社会貢献への意識が高い方が多いことから、こうした施策を継続的に行うことは、会員の継続率の向上に寄与すること以上に、私たち千趣会としての「責務」であると認識しています。
あわせて、全社として費用効率化の徹底と、事業ポートフォリオの多様化も進めてまいります。それにより注力領域へリソースを分配し、利益改善と成長性を確保していきます。
また共創の深化・拡大へも継続して取り組みます。特に資本業務提携を行う東日本旅客鉄道(JR 東日本)との協業においては、オリジナル商品の共同開発、JR 東日本の運営するECモール「JRE MALL」での売上拡大、駅関連施設への実店舗の出店強化、JR 東日本グループの物流受託の拡大など、協業を今まで以上に深めていきます。
2期連続の赤字となり、また株式配当についても無配となるなど、ステークホルダーの皆様にはご心配とご迷惑をおかけしていることを心よりお詫び申し上げます。こうした状況においても当社を支援してくださっている皆様のご期待に応えるため、まずは足元を固め、2024年度の業績大幅改善と2025年度の黒字化に向け、全社一丸となって臨みます。
当社は2025 年に設立70周年を迎えます。今一度、創業の原点に立ち戻り、社会課題に正面から向き合い、その解決に貢献できる企業を目指すと共に、持続可能な社会の実現に向けて、お客様が自分らしく輝ける、よりよい暮らしと未来の創造に努めることで、千趣会らしい社会貢献を果たし、そして事業の成長、拡大に繋げてまいります。
改革を着実に成し遂げ、継続的な企業価値の向上に努めていきますので、引き続きご理解とご協力をお願い申し上げます。
2023年07月
代表取締役社長 梶原 健司