
オファーとは、購入や問い合わせを促す「価値ある提案」のこと。たとえば「初回割引」「無料体験」「送料無料」「特典プレゼント」などが該当します。単なる割引にとどまらず、顧客のニーズに合った提案をすることで、成果に直結する可能性が高まります。
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本記事では、マーケティングにおけるオファーの定義や役割から、オファーの設計方法まで解説します。成果を出すためのポイントも解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
- 目次
1. オファーとは?一般的な意味とマーケティングにおける定義と役割

「オファー」とは、何らかの「申し出」や「提案」を意味する言葉です。例えば、転職活動における「オファー面談」や、企業買収における「買収オファー」などのように用いられます。
マーケティングの世界における「オファー」は、単なる申し出以上の、より戦略的な意味合いを持ちます。
具体的には、顧客に特定の行動(購入・資料請求・問い合わせ・体験など)を起こしてもらうために提供される、「価値ある提案」です。これは、顧客の購買意欲を刺激し、最終的な意思決定を後押しするための重要な要素となります。
オファーの最終目的は「顧客の行動を促すこと」であるため、Webサイトでオファーを行う場合は、訪問者を以下のようなコンバージョンにつなげることが目的となります。
- 商品の購入
- サービスの申し込み
- 資料のダウンロード
そのため、オファーはCVR(コンバージョン率)に直接的に影響を与える要素として、マーケティング戦略において非常に重要な役割を担っています。顧客が「これなら買いたい」「試してみたい」と強く感じるような魅力的なオファーを設計できるかどうかが、ビジネスの成果を大きく左右する可能性があるということです。
キャンペーンやプロモーションとの違い
「オファー」と似た言葉に「キャンペーン」や「プロモーション」がありますが、それぞれ異なる意味を持ちます。その違いについても把握しておきましょう。
【キャンペーン】
特定の期間や目的を定めて行われる一連のマーケティング活動全体を指します。例えば、「夏のセールキャンペーン」「新商品発売キャンペーン」といった場合、その期間内に様々な施策(広告、SNS投稿、そしてオファーなど)が展開されます。キャンペーンは、オファーを内包する上位概念と考えましょう。
【プロモーション】
製品やサービスの認知度を高め、販売促進を図るための広範囲な活動全般を指します。告・広報・イベント・人的販売・セールスプロモーション(キャンペーンやオファーを含む)などが含まれます。プロモーションもまた、オファーよりも広範な概念です。
つまり、オファーは、キャンペーンやプロモーションといった大きな枠組みにおいて、顧客の具体的な行動を促す「価値ある提案」と位置づけられます。例えば、「GW限定キャンペーン」のような大規模なプロモーション戦略の中に、「期間内購入で20%オフ」といったオファーが盛り込まれるイメージです。
2. オファーの種類

オファーと一口に言っても、その種類は多岐にわたります。顧客の購買意欲を効果的に刺激するためには、自社の商材やターゲット顧客の状況に合わせて、最適なオファーを選択・設計することが重要です。
ここでは、代表的なオファーの種類と、それぞれの「活用シーン」や「メリット」について解説します。
2-1.割引(値引き・クーポン)
もっとも一般的で、よく用いられるオファーです。「○%オフ」「○円引き」といった形で、通常価格よりも安く商品やサービスを提供します。
活用シーン |
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メリット |
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2-2.送料無料
オンラインショッピングにおいて、送料は顧客が購入をためらう大きな要因の一つです。そのため、一定金額以上の購入で無料にしたり、全品無料にしたりするオファーを提供するケースもあります。
活用シーン |
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メリット |
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2-3.無料体験・無料サンプル
商品やサービスを実際に試してもらうことで、その価値を実感してもらうためのオファーです。SaaSの無料トライアル、化粧品のサンプル提供などが該当します。
活用シーン |
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主なメリット |
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2-4.初回限定・期間限定・数量限定
「今だけ」「あなただけ」といった特別感を演出することで、顧客の「今すぐ行動したい」という心理を刺激するオファーです。
活用シーン |
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主なメリット |
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2-5.特典付き・バンドル(抱き合わせ)
商品やサービスに、別の商品やサービス、あるいはデジタルコンテンツなどの「特典」を付けて提供するオファーです。複数の商品をまとめて割引価格で提供する「バンドル販売」もこれに含みます。
活用シーン |
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主なメリット |
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2-6.非金銭的なオファー
近年増えているのが、割引のような金銭的な価値ではない、特別な「体験」や「限定コンテンツ」を提供するオファーです。顧客の体験価値やロイヤリティを高める目的で活用されます。
活用シーン |
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主なメリット |
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2-7.返金保証・成果保証
顧客が商品やサービスを利用して満足できなかった場合や、期待する成果が得られなかった場合に、代金を返金したり、追加のサポートを提供したりするオファーです。
活用シーン |
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主なメリット |
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これらのオファーを単独で使うだけでなく、複数組み合わせて提供することで、さらに強力な価値提案を生み出すことも可能です。
3.ターゲットとフェーズに応じたオファー設計
効果的なオファーは、単に魅力的な内容であるだけでなく、「誰に」「いつ」「どのような状況で」提供するかが非常に重要です。ここでは、ターゲット顧客の特性や購買フェーズと、個々のセグメントに合わせたオファー設計の考え方について解説します。
3-1. BtoB/BtoC別の違い
事業モデルによって、顧客の購買プロセスや意思決定の基準は大きく異なります。そのため、BtoB(法人向け)とBtoC(個人向け)では、響くオファーの種類も変わってきます。
【BtoB:法人向け】
BtoBの購買は、個人の感情よりも論理性や費用対効果が重視される傾向にあります。複数の関係者(担当者、上司、経理など)が意思決定に関与し、検討期間も長くなることが一般的です。
特徴 |
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オファー例 |
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【BtoC:個人向け】
BtoCの購買は、個人の感情や衝動、利便性、体験が意思決定に大きく影響します。購買サイクルも比較的短く、個人が単独で意思決定することがほとんどです。
特徴 |
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オファー例 |
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3-2. カスタマージャーニーと購買フェーズ別のオファー設計
顧客が商品やサービスを知ってから購入に至るまでの一連のプロセスは「カスタマージャーニー」と呼ばれます。カスタマージャーニーは、単なる段階的な購買プロセスではなく、顧客の心理や行動の変化を連続したストーリーとして捉える考え方です。
オファーを設計する際は、商品やサービスを知ってから購入に至るまでの段階(購買フェーズ)で顧客が抱えるニーズや疑問を正確に捉え、このカスタマージャーニー全体を通して最適な顧客体験を提供することが重要です。
購買フェーズの一般的な流れは下記の通りです。
- 認知・興味
- 比較・検討
- 購入
- リピート・継続利用
それぞれのフェーズで顧客が抱えるニーズや疑問は異なります。そのため、フェーズに応じた最適なオファーを提供することが重要です。
以下は、フェーズごとの顧客の状態とオファー例のまとめです。
フェーズ | 顧客の状態 | オファー例 |
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認知・興味 |
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比較・検討 |
複数の選択肢の中から、どれが自分に合っているか迷っている |
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購入 |
購入意欲は高いが、迷いや不安が残っている |
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リピート・継続利用 |
商品・サービスを利用中、あるいは利用経験がある |
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このように、顧客の購買フェーズを正確に見極め、その段階に合わせた最適なオファーを提供することが、コンバージョン率向上につながります。
3-3. セグメントごとのカスタマイズ設計
BtoB/BtoCや購買フェーズだけでなく、さらに細分化された顧客の「セグメント」に合わせてオファーをカスタマイズすることも、成果を最大化するうえで非常に重要です。
同じ商品やサービスであっても、顧客の属性(年齢・性別・地域・職業など)や、抱える具体的な課題、ライフスタイルによって、響くメッセージや魅力的なインセンティブは異なります。
例えば、同じフィットネスジムのオファーでも、ターゲットが変われば以下のようにオファーの内容も変化します。
【忙しいビジネスパーソン向け】
オファー内容 |
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オファーの価値 |
時間効率、手軽さ |
【子育て中のママ向け】
オファー内容 |
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オファーの価値 |
子供と一緒に楽しめる、安心して運動できる環境 |
【健康維持を目的とするシニア層向け】
オファー内容 |
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オファーの価値 |
安全性、専門的なサポート、健康維持 |
このように、ターゲットはどのような人物かを深く理解し、そのインサイト(心理的背景)を掘り下げることで、顧客一人ひとりに「自分ごと」として響くオファーを設計できます。
4.魅力的なオファーを設計する4ステップ

ここまで、オファーの種類や、ターゲット・フェーズに応じた設計の重要性について見てきました。では、実際に「成果を生むオファー」をどのように設計すればいいのでしょうか。
ここでは、どんな商材・業種であっても共通して活用できる、汎用的かつ実践的な4つのステップを解説します。
4-1. ペルソナ設計とユーザーインサイトの深掘り
魅力的なオファーを設計するための最初のステップは、「誰の、どんな悩みや願望に応えるのか」を明確にすることです。顧客の心に響くオファーは、その人が抱える課題や、実現したい未来を深く理解することから生まれます。
そこで、まずはターゲットを具体的な人物像として作り上げる「ペルソナ」を言語化することから始めましょう。
ペルソナは、単なる年齢や性別といったおおまかな情報だけでなく、その人のライフスタイル・仕事・価値観・日々の悩み・普段利用する情報収集方法なども含めて、まるで実在する人物のように詳細に設定することが重要です。
【ペルソナ例】
- 年齢と性別:30代後半女性
- 居住地:都内在住
- 仕事:会社員、週5日勤務
- 家族構成:夫と子ども2人(共働き、子どもは小学生)
- 情報収集方法:SNSで時短レシピや効率的な家事術の情報をよく見ている
- 悩み:仕事と育児に追われ、自分の時間がなかなか取れないことに悩んでいる。健康意識は高いが、ジムに通う時間も体力もない。
ペルソナを設定したら、次はその行動や感情の裏にある「インサイト(深層心理)」を深く掘り下げます。「なぜそのオファーに反応するのか」「どんな不安があるのか」「何を求めているのか」といった、表面的なニーズのさらに奥にある心理的な背景を探りましょう。
例えば、以下のように仮説を立てます。
- 時短レシピをよく見るのは、単に料理の時間を短縮したいだけでなく、「家族との時間を増やしたい」「自分の休息時間が欲しい」といった願望があるのではないか
- ジムに通えないのは、「時間がない」だけでなく、「通うのが面倒」「続けられるか不安」などの心理があるのではないか
これらのペルソナやインサイトの仮説を立てるだけでなく、客観的なデータで裏付けを取ることが重要です。社内データと顧客の声を積極的に活用し、アンケート・顧客インタビュー・レビュー・サポートへの問い合わせ内容・営業日報・Webサイトのアクセス解析データなどを分析材料として活用しましょう。
実在するデータを活用してペルソナを作り、インサイトを掘り下げることで、より実際のターゲットを深く理解できるようになります。
4-2. 提供する価値を言語化して差別化する
顧客のインサイトを深く理解したら、次は「どんな価値を提供するのか」を明確にし、それを顧客に伝わる言葉で表現するステップです。ここでは、いかに顧客がその商品やサービスから「得られる未来(ベネフィット)」を提示できるかが重要です。
顧客が知りたいのは、商品やサービスが「何ができるか」よりも、「それによって自分がどうなれるか」です。そのため、その商品やサービスが持っている「機能」を、顧客が手に入れる具体的なメリットや、解決できる困りごとに言い換えて伝えることが大切です。
例えば、「自動分析レポート機能を搭載」と紹介してもピンとこないかもしれませんが、「毎週の集計作業から解放され、本来の業務に集中できます」と伝えれば、顧客はより機能を魅力的に感じる可能性が高まるでしょう。
次に、競合他社との違いを明確にし、自社ならではの「選ばれる理由」を具体的に言語化する「差別化ポイントの具体化」も重要です。独自の技術・特定の業界への特化・手厚いサポート体制など、他にはない強みをアピールしましょう。
「〇〇業界専用のAIツールで、導入後すぐに業務効率が30%アップ」や、「返金率0.1%の実績が示す、お客様満足度の高さ」といった具体的な表現が有効です。
提供する価値や差別化ポイントに説得力を持たせるために、具体的な証拠を添えましょう。数字データ、お客様の声(レビュー)、導入事例、受賞歴、メディア掲載実績などは、信頼性を高める強力な要素となります。
4-3. 費用対効果の試算と競合調査
顧客に提供する価値を明確にしたら、次は「どのようなオファーならビジネスとして成立するか」を検証するステップです。
オファーは、単に顧客の行動を促すだけでなく、自社の利益にも直結する重要な要素です。そのため、具体的なオファー内容を決める前に、必ず「費用対効果の試算」と「競合調査」を行いましょう。
【費用対効果の試算】
「30%OFF」のような割引オファーは、顧客にとって魅力的ですが、その分、自社の利益率や顧客生涯価値(LTV)にどの程度影響があるのかを事前に試算することが不可欠です。
例えば、割引によって一時的に売上が上がっても、継続的な利益が見込めなければ、そのオファーは失敗だと言えます。
【競合調査・比較】
競合がどのような価格帯で、どのようなオファーやキャンペーンを打ち出しているかを調査することも重要です。
例えば、BtoB市場において価格が購買のネックになっている場合でも、競合と同価格か若干低い程度のオファーで十分なケースは多く、極端な低価格設定は不要な場合があります。反対に、BtoC市場で競合から一気にシェアを奪いたい場合は、思い切った低価格オファーが有効なケースもあります。
これらの分析を通じて、オファーが顧客にとって魅力的であると同時に、自社のビジネス目標に貢献する内容であるかを確認しましょう。
4-4. 特典と保証で行動を後押しする
最後のステップとして、顧客が行動を決断するための「最後の一押し」となるオファーを用意します。
前述の「3.ターゲットとフェーズに応じたオファー設計」を参考に、ターゲットと自社の商品やサービスに適したオファーを設定しましょう。
5.オファーで成果を出すにはテストと改善が不可欠

ここまで、魅力的なオファーを設計するための具体的なステップを解説してきましたが、オファー設計は一度作って終わりではありません。設計したオファーをテストし、改善を繰り返すことで、その効果を最大限に引き出し、持続的な成果を生み出すことができます。
どんなに綿密に設計されたオファーでも、顧客に提示してみなければ本当に効果があるかはわかりません。また、市場や顧客ニーズは常に変化するため、一度成功したオファーが常に通用するとは限らないため、成果を最大化するには継続的なテストと改善が不可欠です。
具体的には、複数のオファーパターンを用意し、顧客層に提示して効果を比較する**A/Bテスト**が有効です。これにより、割引率や無料特典、見出し、CTA文言など、様々な要素の最適な組み合わせを見つけられます。
また、新規顧客やリピーターといった特定のセグメントごとに効果を検証することで、よりパーソナライズされた戦略を構築できます。
常に変化する市場と顧客ニーズに対応し、オファーの力を最大限に引き出すためには、この**継続的な改善と最適化**がポイントです。
6. 千趣会のプロモーションサービスは「届けたいオファー」を効果的にお届け

本記事では、成果を生むオファーの設計方法について解説してきましたが、どんなに魅力的なオファーを用意しても、それが「ターゲットにきちんと届かなければ」その効果は十分に発揮されません。
しかし、自社でターゲット層に合わせた販促ツールを制作したり、複数のチャネルに展開したりするのは、時間もリソースも必要となり、決して簡単なことではありません。
千趣会では、長年の通販事業で培ったノウハウと、特に主婦層や女性に強いベルメゾンの会員データを活用し、貴社が「届けたいオファー」を効果的にターゲットへ届けるためのプロモーションサービスを提供しています。
ベルメゾンのカタログやWebサイト、メールマガジンなどの多様なメディアを通じて、貴社のオファーが求める顧客行動へとつながるようサポートします。
【こんな課題をお持ちの企業様へ】
- 魅力的なオファーを考える時間はあっても、それを届ける手段が足りない
- カタログや同梱物といった“刺さる媒体”で、特定の層にダイレクトにアプローチしたい
- サンプリングや紙媒体でのプロモーションにノウハウがなく、効果的に実施できるか不安
千趣会のプロモーションサービスは以下のようなさまざまな手法で、貴社のオファーを最適な形で届けます。
これらのサービスを組み合わせることで、貴社が設計した魅力的なオファーを、適切なターゲット層へ、最適な方法で届けることが可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。
【問い合わせ先】