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この記事では、コスメEC市場の現状と課題を踏まえ、成果を高めるポイント、主要媒体の特徴、具体的な成功事例まで、売上向上につながる実践的なノウハウを解説します。
- 目次
1.コスメEC市場の現状と広告運用の重要性
近年、コスメEC市場は拡大を続けています。新型コロナウイルスの影響で、消費者の購買行動がオンラインへシフトしている影響です。しかし、実店舗と比較した際のデメリットや、競合の多さなど、コスメEC市場特有の課題も存在します。
2023年度の国内の化粧品市場規模は2兆4,780億円(※)と、2022年度と比較して104.6%と増加傾向にあります(参照:「化粧品市場に関する調査(2024年)」〈2024年9月18日発表〉丨矢野経済研究所)。
※スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、ヘアケア化粧品、フレグランス化粧品、男性用化粧品等を対象とし、国内ブランドメーカー出荷金額ベースで算出した。医薬部外品の化粧品、輸入品を含む。
近年ではモールECが急成長しており、「乾燥肌 化粧水」などのキーワードで検索しても、それらのサイトやキュレーションサイトが上位を独占しています。
一方で経済産業省の調査によると、化粧品・医薬品分野のEC化率は8.82%と、ここ数年上昇傾向にあるものの、他の物販系分野と比較すると低い水準です(参照:令和6年度電子商取引に関する市場調査報告書 p.48丨経済産業省)。
これは、コスメ特有の「購入前に試したい」というニーズや、実店舗における手軽な購入体験が影響していると考えられます。テスターで質感や香りを確認できる実店舗での購入は、消費者に安心感を与えます。EC市場では、この点をカバーするための施策が必要です。
そこで注目したいのが、ターゲットユーザーの行動特性に合わせた広告運用です。効果的な広告運用を行うためには、ターゲット層の明確化や適切な広告媒体の選択、そしてデータに基づいたPDCAサイクルの実施が不可欠です。
2.広告を通じてコスメECの成果を出すための5つのポイント
コスメECで広告を運用し、売上を向上させるためには、綿密な戦略が不可欠です。ターゲットを定め、適切な予算配分を行い、効果測定に基づいた改善を繰り返すことで、費用対効果の高い広告運用を実現できます。
ここでは、成果を出すためのポイントを5つ解説します。
2-1.ペルソナの設定・見直し
コスメECの効果的な広告運用の第一歩は、ペルソナの設定(設定済みであれば見直し)です。
例えば、「20代の女性」がターゲットであれば、「28歳、IT企業勤務の女性」というペルソナを考えてみます。仕事で睡眠時間が短く、乾燥肌に悩む彼女は、週末にヨガでリフレッシュし、自然派コスメを愛用しています。小じわやくすみを気にしながらも、健康的な美しさを追求する彼女は、SNSや美容サイトで情報収集を行い、口コミを重視してECサイトで商品を購入します。
このようなペルソナであれば、「乾燥肌 対策 オーガニック」「毛穴ケア 20代後半」といったキーワードで検索すると予想されます。同様のキーワードでリスティング広告(検索連動型広告)を配信すれば、確度の高い顧客のアクセスが見込めるでしょう。
さらに、ペルソナ設定はオフライン広告の施策を考えるときにも役立ちます。先のペルソナのライフスタイルを考えると、通勤中に電車で見る交通広告、情報収集に活用する美容雑誌への広告掲載、趣味のヨガスタジオでのサンプリングなども有効なアプローチです。また、自宅に届くDMも、特別感を演出し、ECサイトへの誘導につながります。
ペルソナがすでに設定されている場合は、あらためてその解像度を高めてみましょう。社内で協議するだけでなく、顧客へのアンケートや、ターゲットのSNSの投稿内容なども参考にするとペルソナの具体性がより増します。
2-2.KPIの設定と効果測定
コスメECの広告運用では、明確な数値目標(KPI)の設定が成功への重要なステップとなります。商品の特性や時期に応じて、適切な指標を選択しましょう。
例えば、新商品のローンチ時は「認知拡大」を重視し、Instagram広告のインプレッション数や「いいね」などのエンゲージメント率を注視します。一方、定番商品の販売強化では「売上向上」を目指し、広告費用対効果(ROAS)やコンバージョン率(CVR)を重点的に測定します。
オンライン広告だけでなく、雑誌広告やDMといったオフライン広告でもKPI設定は重要です。例えば、DM施策ではQRコードからのサイトアクセス数やクーポンコードの利用率を、雑誌広告では掲載後のブランド名での指名検索数の増加率をKPIに設定するといった方法が考えられます。
現時点でKPIや効果測定方法が確立されている場合は、目標とする数値は妥当か、測定の仕方に見落としはないか、この機会に見直すことをおすすめします。
2-3.予算の適切な配分
コスメECの広告を運用する際、各媒体への適切な予算配分も大切です。広告費用対効果(ROAS)を軸とした予算配分を心がけましょう。
例えば、認知度向上を目的とする場合はリーチの広いSNS広告に投資し、購買意欲の高いユーザーを確実に獲得するためには、検索連動型のリスティング広告に重きを置きます。既存顧客との絆を深めるため、DMの送付に重きを置く場合は、オフライン施策も含めた予算配分を検討します。
コスメの場合は、季節商品や定番商品といった特性も考慮し、ピーク時に最大投資するなど、時期に応じた柔軟な調整も必要です。
新たな広告媒体を運用するときは、先に少額でテストを行い、ROASを確認することも重要となります。
2-4.広告クリエイティブの工夫
広告クリエイティブは、ユーザーの心を掴み、購買意欲を高めるための重要な要素です。
例えば、「保湿力」「美白へと導く美容液」など、商品を使うことで得られるメリットを強調します。また、「before/after」や「使用感」を視覚的に訴求することも重要です。特にInstagramやTikTokでは、実際の使用シーンを短尺動画で魅力的に表現できます。
さらに「顧客満足度98%!リピートNo.1のクレンジング」のような、数字やデータを用いることで、説得力を高めます。
DMではサンプルを同封し、実際に商品を試してもらう「体験」を提供することも、購買への強力な後押しとなります。
このようにターゲット層に響く訴求ポイントを明確にし、魅力的なビジュアルやキャッチコピーを用いることで、広告効果を高めることができます。
2-5.効果検証と改善
コスメEC広告を成功させる最後の重要な戦略が、データに基づく継続的な改善です。
例えば、週次でGoogle アナリティクスのデータを確認し、「午後9時以降にCVRが上がる」「20代女性の購入が多い商品なのに30代向けクリエイティブを使用している」といった課題を分析し、配信時間の調整や広告クリエイティブの改善を行います。
オフライン広告も同様です。DM施策で「QRコードからのアクセス率が低い」という結果が出た場合、ターゲット層の興味を引くデザインやキャッチコピー、特典内容を見直すといった改善が考えられます。
また、UVケアは4月から、クリスマスコフレは10月からと、コスメ特有の季節感への意識が必要です。前年の売上データや最新の市場トレンドを参考に、事前に広告の準備を行うことで効果を最大化できます。さらに、競合の広告表現もウォッチし、自社の強みを活かした差別化ポイントを見出すことも重要です。
3.主要な広告媒体とその特徴・運用方法
コスメEC市場で勝ち抜くには、数ある広告媒体の中から、自社の商品やターゲットに最適なものを選び、効果的に運用することが鍵を握ります。
以下は主要な広告媒体の特徴・運用方法などをまとめた比較表です。
| 広告媒体 | 特徴 | 運用方法 |
|---|---|---|
| DM |
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| 商品同梱広告 | 開封率100% |
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| リスティング広告 | 購買意欲の高い顧客にアプローチできる |
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| SNS広告 | ターゲティング精度が高い |
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| ディスプレイ広告 | 視覚的な訴求で認知度向上 |
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| 動画広告 | 情報を多く伝えられるため、訴求力が高い |
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3-1.DM
DMは、デジタル広告が主流となっている今、あらためて注目されている広告媒体です。その理由は閲読率、行動喚起率の高さで、日本ダイレクトメール協会によると、本人宛てのDMの閲読率は約75.1%、行動喚起率は約20%です(参照:DMメディアの現状 p.12、13|総務省)。
加えて、DMは物理的な媒体のため嗅覚や触覚に訴えたり、サンプリングを付けたりもできるため、コスメと特に相性が良いと言えます。
DMは、ターゲットに合わせてアプローチを変えることで、高い効果が期待できます。例えば、購入頻度の高い既存顧客には、新商品の先行案内や限定イベントへの招待で、リピート購入を促進できます。しばらく購入していない休眠顧客には、特別セールや限定商品の案内で再購入のきっかけを作ることが可能です。
また、他社が展開するDMサービスを活用すると、新規顧客にもアプローチできます。DMサービスは他社の顧客リストからターゲットをセグメントして送れる手法のため、費用対効果の高い顧客開拓方法として人気です。配布するときは、購買意欲が高まるような特別なサンプルや初回限定クーポンを送付すると効果的です。
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千趣会のDMサービスは、約1,560万人のベルメゾン会員を年齢や購入履歴などで細かくセグメントしたうえで、そのターゲットに一社単独の案内を届けることができます。ベルメゾンネットのメインの顧客層は30~50代の女性のため、コスメと親和性が高いのも特徴です。 ハウスリストをセグメントすると十分な数が確保できない、他社の情報に埋もれず商品を強くアピールしたいなどのときは、ぜひ千趣会のDMサービスをご検討ください。 |
3-2.商品同梱広告
商品同梱広告は、他社の通販サイトで購入された商品に、チラシやサンプルなどを同梱して顧客へ届ける広告手法です。開封率がほぼ100%と高く、ターゲットへ確実に情報を届けられる点がメリットです。
商品同梱広告も、DM同様、他社の顧客リストを活用して送れるサービスがあります。こちらを活用すれば、今まで接点のなかった顧客へも効率的にアプローチできます。
千趣会の商品同梱サービスは、ベルメゾンで購入した商品と一緒にチラシやサンプルを届けられます。コスメに関心の高い層へのリーチも可能です。
3-3.リスティング広告
購入意欲の高いユーザーへ直接アプローチできるリスティング広告は、コスメEC運用における重要な広告媒体です。「敏感肌 ファンデーション」「プチプラ 化粧水」など、具体的な悩みやニーズを含むキーワード検索に対して広告を表示できるため、コンバージョンが期待できます。
さらに、季節や時期に応じて、「UV ファンデーション」「クリスマスコフレ」などキーワードを変更し、その時期のユーザーニーズに合わせた柔軟な出稿が可能です。入札単価や予算は随時調整でき、効率的な運用を実現できます。
3-4.SNS広告(InstagramやFacebookなど)
SNSは多くの人が日常的に使用していることから、短期間で広く届けられるのが特徴です。特にInstagramやFacebookなどはビジュアル重視のプラットフォームであり、コスメ商品の魅力を効果的に伝えられます。
例えばInstagramの場合、若年層に「話題のクッションファンデ」を、30代には「エイジングケア用の高保湿美容液」を、といったように、それぞれの年代に合わせて効率的に届けることができます。ストーリーズやリールでBefore/After動画や使用感を自然に訴求できるため、認知拡大と売上向上の両方に効果的です。
近年は男性もスキンケアやヘアケアに興味を持つ人が多く、年齢層や商材によってはFacebook広告も有効です。
3-5.ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は、Yahoo!ニュースやコスメメディアなど、多くのユーザーが訪れるサイトに掲載される画像やバナー形式の広告です。
「桜デザインの限定パッケージ」や「使用感が伝わるビジュアル」など、商品の魅力を視覚的に訴求できるため、ブランド認知の向上に効果的です。
特に美容関連メディアやファッションサイトと連携することで、コスメに関心の高いユーザーへ商品をアピールできます。さらにリターゲティング広告と組み合わせることで、認知から購買までをスムーズに導けるでしょう。
3-6.動画広告(YouTubeなど)
YouTubeの動画広告は、コスメ商品の特徴や使用感を具体的に伝えられる強力なプラットフォームです。
「毛穴カバーファンデーションの塗り方」を15秒のショート動画で解説したり、「美容液の浸透実験」を比較形式で見せたりと、商品価値をわかりやすく訴求できます。
特にメイク動画視聴者が多いYouTubeでは、プロによる使用テクニックやBefore/After映像が効果的です。
「飛ばせない」広告形式もあり、確実な視聴が期待できるため、認知拡大から購買意欲の向上まで幅広い効果が得られます。
4.コスメEC広告の活用事例
この章では、主要な広告媒体の具体的な活用事例を通して、コスメECにおける効果的な広告戦略を解説します。
4-1.ニーズに合わせた広告配信
コスメECでは、季節やイベント、トレンドに合わせた広告配信が売上向上の鍵となります。
例えば、夏の紫外線対策として日焼け止めクリームを訴求したり、冬の乾燥対策として保湿クリームを宣伝したりすることで、消費者のニーズに的確に応えることができます。また母の日ギフトやバレンタインコフレなど、イベントに合わせた限定感のある訴求も効果的です。
また「韓国発のクッションファンデ」「SNSで話題の美容液」など、トレンドワードを取り入れた広告クリエイティブも効果的です。
さらに、口コミやレビュー、使用感が重視されるコスメECは、オムニチャネルが必須といわれています。DMを見てコスメサイトでレビューを確認する、楽天で見て店頭でテストする、という複数媒体間の往復が、成長しているブランドの共通要素とわかっています。
広告においても、複数媒体と組み合わせて発信していきましょう。
4-2.未購入のサイト訪問者へのリターゲティング広告
商品の閲覧やカート追加をしたものの、購入に至らなかったユーザーへの再アプローチは、現在のコスメEC広告で高い効果を発揮します。
例えば「乾燥肌用美容液」のページを見たユーザーには使用感の動画広告を、カートに入れたまま離脱したユーザーには「初回購入20%OFF」などの特典付き広告を配信するなどです。
ただし、Cookie規制強化により利用制限の可能性があります(参照:プライバシーサンドボックス丨Google)。現在、規制の廃止は見送られましたが、可能性がなくなったわけではないので、今後の動向に注目するとともにほかの施策と検討することが重要です。
5.新規顧客に対してコスメECの広告を展開したい場合は千趣会にご相談ください
コスメEC市場で売上UPを目指すなら、適切な広告媒体の選定が必要です。各広告媒体の特徴をつかみ、効果的な広告運用を行いましょう。
特におすすめなのがDMサービスの活用です。本文でも説明したように、DM自体がコスメ広告と相性が良いのに加え、自社のECを認知していない顧客に効率よくアプローチできるメリットがあります。
千趣会では、約1,560万人のベルメゾン会員の中から、貴社の商品にマッチする顧客のみを抽出して広告配信できるDMサービスも展開しています。年齢や地域、性別などに加えて、ベルメゾン内での購入商品ジャンルや購入金額、最終購入日など細かなセグメントが可能です。
新規顧客に対してコスメEC広告を展開したい場合は、ぜひ千趣会へご相談ください。
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