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モーダルシフトとは?その効果や進まない理由、政府の支援制度などを解説

2023.08.03

モーダルシフトとは? 図解
環境問題に対する関心が高まっていることもあり、モーダルシフトが関心を集めています。モーダルシフトを行うと、物流における環境負荷を低減することができます。この記事では、モーダルシフトのメリットや懸念点、導入事例などについて解説します。
千趣会では、受注から発送・梱包までの物流業務のトータル代行サービス(フルフィルメントサービス)を提供しています。ベルメゾンなどの自社通販で培ったノウハウをもとに、貴社に最適なご提案をいたします。
物流に関する課題やお悩みがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

目次
  1. 1.モーダルシフトとは
  2. 2.モーダルシフトのメリット
  3. 3.モーダルシフトが進まない理由
  4. 4.モーダルシフトの事例
  5. 5.モーダルシフトを推進する政府の支援
  6. 6. 物流の仕組みを見直すなら千趣会にご相談ください

1. モーダルシフトとは

キーボードの右シフトキーがモーダルシフトになっている画像

モーダルシフトとは、トラックなどの自動車を使った輸送方法を、環境負荷軽減のために鉄道輸送や船舶輸送へ転換することです。環境問題に関心が集まる現代において、二酸化炭素(CO2)排出量の少ない輸送方法を模索するモーダルシフトは、注目を集めています。

最近では、企業活動において、CSR(企業が担う社会的責任)やSDGs(持続可能な開発目標)、ESG(環境・社会・ガバナンスの課題に関する活動に取り組むこと)に対する意識が求められています。

CSRなどを意識し、モーダルシフトなどの具体的な取り組みを行うと、企業のブランドイメージのアップ、取引先との信頼関係の強化、従業員のエンゲージメントの向上が期待できます(参考:「企業の社会的責任(CSR)」についてのアンケート調査  p.5|東京商工会議所)。

このようにモーダルシフトは、環境負荷を軽減させるだけでなく、企業からも重要視されている取り組みです。

2.モーダルシフトのメリット

PCを操作する人

モーダルシフトには、具体的に3つのメリットがあります。

  • CO2の排出量を抑えられる
  • トラック輸送における人手不足の問題を解消できる
  • 長距離輸送ではコストを削減できる

以下でそれぞれ詳しく説明します。

(1)CO2の排出量を抑えられる

1つ目のモーダルシフトによるメリットは「CO2の排出量を抑えられる」ことです。

モーダルシフトでは、トラック輸送から船舶輸送・鉄道輸送への切り替えを行います。

国土交通省によると、1tの貨物を1km運ぶ際にトラックを使うと、216gの二酸化炭素が排出されます。一方、鉄道を使った場合は20gしか二酸化炭素が排出されず、船舶を使った場合は43gしか二酸化炭素が排出されません。輸送方法をトラックから鉄道や船舶に転換すると、単純計算で80~90%のCO2排出量を削減できるのです。

輸送量当たりの二酸化炭素の排出量(2020年度 貨物)
輸送量当たりの二酸化炭素の排出量(2020年度 貨物)

出典:モーダルシフトとは|国土交通省

しかし、2020年時点の国内貨物輸送量において、トラック輸送は全体の約5割を占めています。

国内貨物輸送量の推移(トンキロベース)
国内貨物輸送量の推移(トンキロベース)

参照:我が国の物流を取り巻く現状と取組状況 p.3 |経済産業省・国土交通省・農林水産省

そのため政府は、環境負荷の観点から、モーダルシフトを推進し、トラック輸送の割合を減らす取り組みを行っています。具体的な内容については、下記でご紹介します。

(2)トラック輸送における人手不足の問題を解消できる

2つ目のメリットは「トラック輸送における人手不足の問題を解消できること」です。

近年、物流業界では労働者不足が問題となっています。全日本トラック協会が行ったの2022年の調査によると、トラックドライバーの不足感に関するアンケートで「不足」「やや不足」と企業の割合は50.2%です(参照:第119回トラック運送業界の景況感(速報)p.2|全日本トラック協会)。

また、鉄道貨物協会の報告書では、2028年度には27.8万人以上のトラックドライバーが不足するという予測も立てられています(参照:本部委員会報告書 p.104|鉄道貨物協会)。

こうした物流業界における人手不足の問題を解決するため、企業の側もモーダルシフトに対する関心を高めています。国土交通省によれば、モーダルシフトに関心がある物流業者の約70%は、その理由として「トレーラーが確保しづらくなっている」ことを挙げました。

参照:鉄道へのモーダルシフトの状況及び検討にあ当たっての問題意識について p.8|国土交通省

近年では、トラック及びドライバーを安定的に確保できないため、廃業する運送会社も見られます。受注できる仕事も充分にあり、利益の面では問題なくても、人手不足によって事業を継続できなくなってしまうケースもあるのです。

加えて、「2024年問題」の影響も懸念されています。2024年問題とは、働き方改革関連法によって運送業界で発生するさまざまな問題のことです。2024年以降、ドライバーの時間外労働時間の上限が制限され、運送業者の利益が減少し、走行距離によって応じて支払われるドライバーの収入も減少するといわれています。こうした事情により、ドライバーの数のさらなる減少が懸念されているのです。

モーダルシフトは、こうしたトラックドライバーの不足のなかで、持続可能な運送を行うために有効な手段なのです。

(3)長距離輸送だと輸送コストを削減できる

3つ目のメリットは「長距離輸送では輸送コストを削減できる」ことです。

トラック輸送は鉄道輸送・海運輸送よりも長距離輸送のコストが高くなります。トラックドライバーには「連続運転は最大4時間」「2日間の平均運転時間は最大9時間」といった運転時間に関する制約が課せられているため、長距離輸送の場合、2人以上の人件費がかかることがほとんどです。中継地点・有料道路などを経由する際は、さらにコストがかさみます。

一方、モーダルシフトを実現できれば、トラックドライバーは荷物の送り元から最寄りの貨物駅や貨物港といった配送拠点まで、あるいは最寄りの配送拠点から荷物の送り先までの運転のみで済みます。

また鉄道輸送・海運輸送の場合、一度に大量の荷物を輸送することが可能です。そのため、長距離になるほど、結果的に輸送コストが安くなる傾向にあります。

『内航海運新聞』によると、東京から福岡までの輸送においてモーダルシフトを行った事例では、輸送にかかる費用を38%カットできたといいます。所要時間は36%増加したそうですが、労働力は22%削減でき、CO2排出量は53%削減できたそうです(参照:モーダルシフトとは|内航海運新聞)。

3.モーダルシフトが進まない理由

階段で考えるビジネスマン

そうしたメリットがあるにもかかわらず、今もなおモーダルシフトは完全に普及していません。前述した通り、2020年時点でトラック輸送は全体の半分以上を占めています。モーダルシフトが進まない理由(懸念点)としては、主に以下の4点を挙げることができます。

  • 輸送のリードタイムが長い
  • 輸送物の種類によっては荷傷みが生じる
  • 災害時のリスクが高い
  • 短距離輸送だとコストが高い

それぞれ詳しく解説します。

(1)輸送のリードタイムが長い 

モーダルシフトが進まない理由(懸念点)として1つ目に挙げられるのは「輸送のリードタイムが長い」ことです。

リードタイムとは、商品の発注から納品までに必要な時間のことです。鉄道輸送・海上輸送は、以下の事情により、時間的なロスが発生するため、結果としてリードタイムが長くなります。

  • トラック便のように荷物の集荷後にすぐ商品を発送することができない
  • 1日に運送可能な便の本数が決まっている
  • 線路/航路が決まっている
  • 時期や時間帯、場所によっては配送が集中するため順番待ちが発生する
  • 拠点となる港や駅で、最終目的地まで運ぶトラックへの積み下ろし作業が必要になる

このように、柔軟に輸送ができるトラック輸送に比べると、鉄道輸送・海上輸送は時間的なロスが多く、リードタイムにおいて劣ってしまいます。そうした事情により、モーダルシフトを導入できない物流業者も少なくないでしょう。

(2)輸送時に荷傷みする可能性がある

トラック輸送に比べて、鉄道輸送・海上輸送は荷傷みする可能性が高くなります。鉄道輸送・海上輸送では、鉄道車両の揺れや、海上の波などにより振動が発生し、荷物同士やコンテナに荷物がぶつかったり、破損したりすることがあります。

また、上述したように、鉄道輸送・海上輸送では、集荷から到着までに比較的長い時間を有します。そのため、時間経過や温度変化による劣化(特に船便では、水分や湿気によって湿害やカビ、腐敗などの劣化)が発生します。

なお、上記の荷傷みの対策として、発泡スチロール性の緩衝材(シート)や、荷物を固定する機材を利用したり、温度維持のため保温・保冷材を利用したり、密閉包装をしたりするなどの対応が行われています。

しかし、それでもなお荷傷みが発生し、商品価値の低下や損失が生じる可能性があります。そのうえ、腐敗や破損が他の荷物に広がるといった二次被害の懸念もあります。

こうした積み荷の安全性の観点から、モーダルシフトに移行できないケースもあるのです。

(3)災害時のリスクが高い

3つ目の懸念点は「災害時のリスクが高い」というところです。

モーダルシフトによって鉄道輸送を行う場合、災害が生じた際の輸送障害のリスクを負うことになります。大規模な輸送障害の事例としては、以下のような被害が挙げられます(参照:鉄道へのモーダルシフトの状況及び検討にあたっての問題意識について p.10|国土交通省)。

  • 2010年の中国地方集中豪雨:橋梁流出により一部区間が不通
  • 2011年の東日本大震災:路盤流出などにより一部区間が不通
  • 2014年の台風18号:土砂流入により一部区間が不通

災害によって線路が破損・埋没した場合、すべての線路が復旧するまで配送は再開されません。

また、海上輸送の場合、台風や津波などの災害に遭い、港に土砂や漂流物が大量に蓄積することもあります。これらのそうした海上の被害は、陸上よりも撤去は陸上よりも時間を要するため、復旧が長期化しやすくなります。

上記のような事情により、鉄道・海上輸送は、障害が発生すると長期的に運休となる場合が多くなります。その点、トラックは業務再開するタイミングを比較的調整しやすいため、災害時にリスクが低いといわれています。

(4)短距離輸送だとコストが高い

4つ目の懸念点は「短距離輸送だとコストが高い」ということです。

長距離輸送でモーダルシフトを実施した場合、コストカットを図ることができます。しかし、それ以下の短距離輸送の場合、逆にコストが高くついてしまう傾向があります。

例えば駅や港などの拠点から集荷先・配送先までの距離が長い場合、トラックの運賃が高くなるため、全区間をトラックで輸送したときと比較してトータルの運賃がかさむことがあります。トータルの輸送費が割高になれば、モーダルシフトによるコストカットの効果を享受しづらいでしょう。

費用対効果の分かれ目となる距離は、おおよそ500kmといわれています。この距離は、「東京~大阪間の距離」に相当します。東京~大阪間の輸送は日本の物流の中心であり、この区間でモーダルシフトを行うとコストアップしてしまう日本の地理には大きな難点があるといえます。

4.モーダルシフトの事例

皆とに停車するトラック

では、上記のような懸念点をクリアし、効果的なモーダルシフトを達成した事例はあるのでしょうか。以下では、モーダルシフトの成功事例を3つ紹介します(参照:平成28年度モーダルシフト等推進事業 採択案件事例|国土交通省)。

(1)北海道薬業効率化協議会

1つ目の事例は「北海道薬業効率化協議会」のケースです。このケースでは、三菱倉庫や朝日運輸などが協業し、東京都港区から北海道札幌市へ向けた医薬品・医療機器などの輸送ルートを、モーダルシフトの観点で見直しました。具体的には、トラック輸送の距離を短くしたほか、港区拠点へ貨物を集約し、トラックの混載輸送などの問題を改善したそうです。

結果として、CO2の排出量は68%削減することができたといいます。

(2)革新的コンテナ「氷感SO庫」の普及推進協議会

2つ目の事例は「革新的コンテナ『氷感SO庫』の普及推進協議会」のケースです。このケースでは、佐川アドバンスやジェイアール貨物・南関東ロジスティクスなどが協業し、東京から北海道(札幌市・釧路市)・福岡(福岡市)へ向けた生鮮品の輸送ルートでモーダルシフトを行いました。具体的には、最新技術を駆使した氷感システム(冷蔵コンテナ内に高電圧・低電流の電気を発生させ、微生物の繁殖や食品の酸化を防ぐシステム)を導入しつつ、航空輸送から鉄道輸送へ転換しました。

モーダルシフト以前・以後で比較すると、CO2の排出量を98%削減できたといいます。

(3)アサヒ・キリン北陸物流協議会

3つ目の事例は「アサヒ・キリン北陸物流協議会」のケースです。このケースでは、アサヒビール・キリンビールが連携を行い、同業他社による共同モーダルシフトを行いました。具体的には、愛知にある両社の名古屋工場から石川県や富山県にトラックで輸送する方法を、アサヒは吹田工場、キリンは神戸工場から出荷し、荷物を吹田貨物ターミナル駅に集約、そこから鉄道で輸送する方法に切り替えました。

結果としては、鉄道貨物の利用率が低かった下り路線を有効活用でき、CO2の排出量を48%も抑えることができたといいます。業界において大きなシェアを誇る2社が共同でモーダルシフトを行ったこの事例は、他の企業に対する啓発効果も大きかったはずです。

5.モーダルシフトを推進する政府の支援

モーダルシフトと書かれた積木

現在、モーダルシフトを推進する政府の支援制度が整備されています。国土交通省の2022~2025年度の総合物流施策大綱でも「地球環境の持続可能性を確保するための物流ネットワークの構築」を行う手段としてモーダルシフトの推進が掲げられています(参照:総合物流施策大綱〈2021年度~2025年度〉 概要|国土交通省)。

具体的には、企業が「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物流総合効率化法)」の認定を受けることによって、モーダルシフトに向けた取り組みに対する計画策定経費や運航経費の補助事業(モーダルシフト等推進事業)を利用できるようにしています(参照:物流総合効率化法について|国土交通省)。

「モーダルシフト等推進事業」などの政府の支援制度を利用する場合は、補助を受けたい機器や機械、整備にかかる概算金額と費用対効果についてあらかじめ試算し、その有効性について考えるといいでしょう。

なお、支援制度によっては、対象の種類や内容が細かく設定されており、申請した対象が支援されない場合もあります。そのため、支援の対象となる物品があらかじめ指定されているか注意して確認する必要があります。

6. 物流の仕組みを見直すなら千趣会にご相談ください

資料を確認するビジネスマン

物流の仕組みを見直すモーダルシフトは、政府の支援もあり、さまざまな企業で導入されています。前述した通り、モーダルシフトは、環境負荷の低減だけではなく、輸送にかかるコストを削減するなど、さまざまなメリットにつながります。

千趣会では、フルフィルメントサービス、物流代行サービスを提供しています。これまで多くの会社を支援してきた実績と経験をもとに、個々の会社が抱える課題にあわせて、必要なサポートの提案をすることが可能です。

物流に関する課題やお悩みがございましたら、ぜひ一度ご相談ください。

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