
- 目次
通販物流とは:作業内容と特徴

通販物流とは、ECサイトやカタログ通販などの通販事業におけるモノの流れを指します。作業内容を細かく分けると、入荷、検品、ピッキング、流通加工、出荷、配送、返品処理となります。
通販物流は、商品を売る「通販事業者」と、消費者に商品を配送する「物流事業者」によって成り立っています。通販事業者の中には、事業拡大にともない「物流代行(アウトソーシング)」を利用する会社もあります。物流代行は、商品の入荷から受注処理、出荷までの一連業務の委託が可能です。
単に「通販物流」と言う場合、基本的には一般消費者向けのBtoC通販の物流を意味します。とはいえ、通販事業には企業向けのBtoB通販も存在しますので、BtoB通販の物流を指す場合もあります。
BtoC物流とBtoB物流の違い

通販物流を理解する上で、まずはBtoC物流とBtoB物流の違いを把握することが大切です。具体的な違いは、以下3つの概要をご覧ください。
- 注文数と出荷件数
- ギフト対応
- 消費者へのアピール
各項目ごとの異なる点を解説します。
1.注文数と出荷件数
BtoB物流の場合、1件あたりの注文数が多く出荷件数は少ないといった特徴があります。例として、アパレル卸売が小売店に商品(服)を届けるケースを考えてみましょう。配送先の小売店舗数はそこまで多くありませんが、1店舗ごとに大量の服を届けます。出荷1件につきたくさんの商品を届けられるため、BtoB物流は配送効率が良いと言えます。
対するBtoC物流は、1件あたりの注文数は少ないですが出荷件数は多くなります。一般消費者に向けてそれぞれ出荷作業が発生するため、BtoB物流よりも配送効率が悪いです。事業が成長するほど負担が増すため、事業拡大に合わせた物流体制の再構築が求められます。
2.ギフト対応
BtoC物流の特徴的な業務が、ギフトラッピングです。フィルム包装などの通常の流通加工に加え、メッセージカードやリボン掛け、名入れといった付加価値のある加工を施します。 お歳暮、クリスマス、母の日などの特定時期に集中するため、繁忙期は人員調整が必要です。
BtoB物流は、ギフト対応はしないケースが一般的です。企業向け通販の物流であるため、当然ながら一般消費者1人ひとりの要望に応じた加工は行いません。
3.消費者へのアピール
一般消費者向けのECサイトは、リピーター獲得のためにさまざまな手法で消費者へアピールします。そのため、BtoC物流では以下のような作業が発生します。
- 段ボールに独自ロゴを入れる
- メッセージカードや販促チラシを封入する
- おまけ製品や試供品を同梱する
- おしゃれな包装箱を使う
- 会員ランクに応じた割引やサービスの案内
競合他社との差別化を目的として、このように自社サービスをブランディングします。会員制度を採用しているECサイトであれば、会員ランクに応じて同梱物を変える場合もあるでしょう。BtoB物流は、消費者を意識した対応はあまり行いません。
通販物流を支える「3PL」と「フルフィルメント」

通販事業が順調に成長していくと、自社のみでは物流体制を維持しきれない段階に差し掛かります。そういった通販事業者を支える仕組み・サービスが、物流業務を請け負う「物流代行」です。物流代行は、大きく以下2つの形態に分かれます。
- 3PL(サードパーティー・ロジスティクス)
- フルフィルメント
2つの形態を詳しく見ていきましょう。
1.3PL(サードパーティー・ロジスティクス)とは
3PL(サードパーティー・ロジスティクス)とは、自社の物流業務を外部の物流会社に委託する業態です。3PLを請け負う会社は、「3PL事業者」と呼ばれます。3PLは単なる業務委託ではなく、3PL事業者が自社に代わって効率的な物流システムの構築やコスト削減などのプランニングも担います。要するに、物流部門全体のマネジメントも任せられるわけです。
3PL事業者は、「アセット型」と「ノンアセット型」に分けられます。アセット型は、物流倉庫や輸送手段を自社保有している事業者です。ノンアセット型は、自社保有の設備はなく、物流倉庫や輸送業者と提携する事業者を指します。
2.フルフィルメントとは
フルフィルメントとは、商品の入荷・注文受付から発送までの物流業務を指します。混同されがちな「フルフィルメントサービス」とは、フルフィルメントの外注化を請け負う事業者やサービスそのものの意味です。
3PLとフルフィルメントサービスは同じ物流代行業ですが、請け負う範囲が違います。まず、3PLが請け負うのは物流業務のみです。一方のフルフィルメントサービスは、物流業務だけでなく注文のコール業務や、更に 。フルフィルメントサービスは通販事業のバックヤード業務まで担うため、3PLよりも委託できる範囲が広いです。
現在の通販物流体制における課題:ラストワンマイル問題

現在の通販物流体制は3PLやフルフィルメントを活用して成り立っていますが、さまざまな課題があります。とりわけ大きな課題となっているのが、ラストワンマイル問題です。
ラストワンマイルとは、物流の最終拠点から配送先に向かうまでの物流サービスを指す言葉です。つまり、ラストワンマイル問題とは、消費者へ商品を届ける最終区間で生じている問題を意味します。
ラストワンマイル問題の中で最も深刻なのが、ドライバー不足です。ネット通販の利用増加による影響だけでなく、ドライバーの人数自体も減っています。減少の理由の1つとして、ECサイトの送料無料サービスが挙げられます。ECサイト側は送料負担を減らすため、物流業者に運賃の値下げを求めてきた背景もあり、結果的にドライバーの低賃金・長時間労働を招き、求人に対して求職者が少ない状況が続いています。全日本トラック協会が2022年に発表した報告(※1)によれば、55.1%の物流企業がドライバー不足を実感しています。国土交通省は、「低賃金・長時間労働の傾向がある労働条件」や「ドライバーの高齢化」といった理由が、ドライバー不足の背景にあると分析しています(※2)。
ネット通販の利用増加により、ドライバーの需要は増す一方です。他にも、再配達によるドライバーの負担や業務効率悪化など、ラストワンマイルは多くの問題を抱えています。
※1 出典:公益社団法人全日本トラック協会「第116回トラック運送業界の景況感(速報)令和3年10月~12月期」
※2 出典:国土交通省総合政策局物流政策課「最近の物流政策について」
今後の通販物流に求められるシステムとは?

現代の物流体制は、ラストワンマイル問題などのさまざまな課題が散見されます。課題を解決するために、今後の物流体制にはどのようなシステムが求められるのでしょうか。
ドライバー不足解決の有効手段として考えられるのは、自動運転による配送システムの実装です。いくつかの物流企業はすでに、自動運転トラックや自動配送ロボットの開発・実証実験を行っています。トラックに加え、配達ドローンの実用化も期待される分野です。ドローン物流が本格化すれば、トラックの到達が困難な山間部への配達が容易になるでしょう。
また、物流倉庫の人手不足解消には、自動ピッキング・搬送による倉庫業務の効率化が必要です。これからの通販物流には、自動化技術の導入が進んでいくと推測されます。
まとめ:通販物流はECサイトを成功させる重要ポイント
この記事では通販物流における、さまざまな現状をご紹介しました。ECサイトを成功させるためには、素早い出荷やギフト対応といった付加価値によるリピーター獲得が重要です。しかし、通販物流の出荷件数は非常に多く、規模が大きくなるほど自社で物流体制を運用するのは困難になるでしょう。
通販物流は、事業拡大に応じて物流代行の導入をおすすめします。業務委託を検討中の方は、千趣会の「物流代行サービス」へぜひご相談ください。通販物流の専門ノウハウを活かしたフルフィルメントサービスを提供いたします。