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この記事では、データベースマーケティングの特徴をCRMとの違いを交えながら解説。成功の秘訣もあわせて紹介しています。
- 目次
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1. データベースマーケティングとは

データベースマーケティングとは、顧客情報を活用して、効果的なマーケティング施策を行う手法です。
顧客データをもとに、それぞれの顧客に合ったダイレクトメールを送信したり、キャンペーンを実施したりなどして購入率やリピート率を向上させ、売上拡大につなげることを目的としています。
1-1. データベースマーケティングとCRMの違い
データベースマーケティングに関連する言葉に、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)があります。
CRMは、特定の顧客から得られる情報を収集・管理し、その情報をもとに特定の顧客との関係を築くことを目的とした手法です。顧客情報をデータベース化して蓄積・分析し、それに基づいた的確なマーケティングを実施するデータベースマーケティングとは、少し性質が異なります。
データベースマーケティング | CRM |
---|---|
マーケティングに重点を置いた手法 【例】 ターゲット層に合わせたターゲット広告やメールマガジン配信などを行い、売上拡大を目指す |
顧客情報の収集・管理に重点を置いた手法 【例】 顧客からの問い合わせや購買履歴などから、特定の顧客のニーズや嗜好を把握し、信頼関係を構築する |
データベースマーケティングとCRMは、相対するものではなく、両者を組み合わせることで、より効果的なマーケティングが実現できます。
例えば、CRMで収集した顧客情報をもとに、データベースマーケティングでよりターゲットに近い顧客に向けたサービス提供を行うなどのケースがあります。両者の長所を活かしてマーケティング戦略を展開することが大切です。
1-2. その他の用語との関係性
データベースマーケティングには、他にもワントゥワンマーケティングやデータドリブンマーケティングといった関連用語があります。
1-2-1. ワントゥワンマーケティングとの関係性
ワントゥワンマーケティングは、一人ひとりの顧客に合わせた施策を展開する手法です。顧客の属性や行動データを分析し、その情報をもとに個別対応を行います。一方、データベースマーケティングは大量の顧客データを一元管理し、施策を展開する手法です。
ただし、データベースマーケティングにおいても、顧客が求めるニーズや嗜好を把握することは非常に重要です。データベースマーケティングによる全体的な施策に加え、ワントゥワンマーケティングによる個別施策を展開すると、より多様な顧客ニーズに対応することができます。
1-2-2. データドリブンマーケティングとの関係性
データベースマーケティングとデータドリブンマーケティングは、どちらもデータを活用して効果的なマーケティングを行う手法ですが、データの利用方法が異なります。
データベースマーケティングは、企業が保有するデータを活用して、ターゲットユーザーに的確な情報を提供する手法です。
一方、データドリブンマーケティングでは、企業が自社で取得したデータだけでなく、外部のさまざまなデータを利用して、ターゲットユーザーの嗜好や行動を推し量り、よりパーソナライズされた施策を行います。ただし、外部のデータを収集・分析する分、初期投資や人材の確保が必要になる点が欠点として挙げられます。
そのため、データベースマーケティングとデータドリブンマーケティングは、自社の目的や状況に合わせて選択することが重要となります。
2. データベースマーケティングのメリット

データベースマーケティングのメリットには、以下のようなものがあります。
- 顧客ロイヤルティの向上
- 機会損失(チャンスロス)の防止
- コスト削減
2-1. 顧客ロイヤルティの向上
データベースマーケティングは、顧客に適したコミュニケーションを図る手法のため、顧客ロイヤルティの向上につながります。顧客ロイヤルティとは、顧客が企業や商品・サービスに対して持つ前向きな感情のことです。
顧客ロイヤルティが向上すると、リピート率の向上、顧客離脱率の低下、口コミによる新規顧客獲得などが期待できます。
2-2. 機会損失(チャンスロス)の防止
データベースマーケティングでは、自社の商品やサービスに関心のある顧客に、効率よくアプローチします。それによって、顧客に対して「あの企業は私のニーズに適切に応えてくれる」と良い印象を与えることができます。
仮にすぐに商品の購入やサービスの利用につながらなくとも、競合他社へ流出してしまう可能性を低くできるのも、データベースマーケティングのメリットです。
2-3. コスト削減
データベースマーケティングは、詳細な顧客情報を収集することで、効果の高いターゲティングを実現する手法です。
具体的な施策のひとつとして、本当に効果のある顧客だけに広告を配信することが挙げられます。これまでターゲットを細かく区切らず、広く一律に広告を打っていた場合は、売上を落とさずに広告費を削減できるでしょう。
また、データベースマーケティングでは、データを活用して「この顧客には対面で丁寧に説明する必要がある」「この顧客に対してはダイレクトメールで十分」など、顧客ごとに具体的な手法を変えながらアプローチします。
これによって、マーケティング部門や営業部門の人的コストの削減も実現できます。
3. データベースマーケティングを成功させるためのポイント

データベースマーケティングを成功させるためには、次の5つのポイントが重要です。
- データの品質向上
- 十分なデータ分析
- 適切なコミュニケーション手段の選定
- 顧客に配慮したコミュニケーションの実施
- 効果の測定と改善策の実施
3-1. データの品質向上
データベースマーケティングにおいては、主に以下のデータを収集します。
- 顧客の性別
- 顧客の生年月日
- 顧客の年齢層
- 顧客の家族構成
- 顧客の収入(世帯収入も)
- 顧客の住んでいる地域
- 顧客の好むコミュニケーションチャネル(電話がメイン、メールが主流など)
- 顧客の購買履歴やアクセス履歴
- 顧客からの配信可・不可の状態
- 顧客が保有するポイント(割引などで活用できるもの)
これらのデータの品質を常に向上させることが重要です。
正確な情報をもとに的確なマーケティング施策を実施しないと、顧客との信頼関係を損ねたり、販売成績を下げたりするミスにつながってしまいます。
例えば、誕生日プレゼントを誕生日を迎えていない人に送ってしまう、すでに退会した顧客を勧誘してしまうなどです。
データの品質を向上するためには、入力ミスの防止、不正確な情報の排除、データの更新と管理体制の整備などが必要となるでしょう。
そのためには、入力時に必要事項を漏れなく入力するだけでなく、入力後のチェックも怠らないことが大切です。顧客が自身の情報を更新できるような仕組みを導入してもよいでしょう。
いずれにしても、データベースマーケティングにおいては、データの品質向上に注力する必要があります。
3-2. 十分なデータ分析
データベースマーケティングにおいても、特に重要なのが収集したデータをもとにした十分な分析です。
分析の仕方はさまざまですが、特に「どんな人が」「どういうタイミング」「誰に」「どのようなきっかけで」購入しているのかという観点でデータを分析すると、コンバージョン率の向上につながりやすい予測を立てることができます。
【分析の例】
- 1,000ポイント以上保有していて未購入の顧客→ポイントの消費期限を案内することで購入きっかけを作ることができる
- 40代後半で美容液を初めて購入→同世代で美容液が初めての購入の場合は、乳液を購入される可能性がある
- 誕生日に自分用に購入した履歴がある人→次の誕生日に同じ商品のリピートや他の商品を購入する可能性がある
3-3. 適切なコミュニケーション手段の選定
顧客とのコミュニケーションの手段を適切に選定することも、データベースマーケティングの成功の鍵を握ります。
コミュニケーション手段としては、メールマガジンやDM(はがきやチラシ)、Web広告などがあります。それぞれのメリット・デメリットは以下のとおりです。
手段 | メリット | デメリット |
メールマガジン | 低コストで多くの人に効果的に届けられる | 迷惑メールとして認識され、顧客に届かない可能性がある |
---|---|---|
DM(はがきやチラシ) |
|
|
TEL(アウトバウンド) | 顧客と直接対話するため、その場での反応が確認できる(反応に応じた提案がしやすい) |
|
Web広告 |
|
運用にある程度の専門知識が求められる |
これらのなかから適切な手段を選ぶときは、ターゲットとする人がどのくらいいるのかを前提に、次の点に注目するとよいでしょう。
- ターゲット層に合っているか
- 費用はいくらか
- どのくらいの手間がかかるか
なお、コミュニケーション手段を組み合わせて効果的なマーケティングを行っている企業も多くあります。例えば、DMを送ったあとにフォローアップの電話をかける、などです。
どれかひとつではなく、複数の手段を併用すると、より効果的なマーケティングが実現できるでしょう。
3-4. 顧客に配慮したコミュニケーションの実施
顧客と実際にコミュニケーションを取るときには、適切な手段を選ぶだけでなく、ターゲットに配慮することも大切となります。
例えば、年配の男性向けの商品を販売する場合は、落ち着いた言葉遣いでアプローチするのが適切です。また、女性向けの商品を販売する場合は、色彩やデザインなどをやわらかいものにするのが効果的です。
また、コンテンツの内容や配信タイミングなどによっては、顧客に不信感・不快感を与える可能性があります。
このアプローチをすることで顧客がどんな印象を持つか、常に顧客目線を忘れないことが大切です。
3-5. 効果の測定と改善策の実施
データベースマーケティングでは、常に効果を測定し、改善策を実施することも重要です。
効果を測定する指標には、次のようなものが挙げられます。
- 売上
- 購入数や購入率(コンバージョン数やコンバージョン率)
- ブランド認知率
- メルマガの開封者数や開封率
- 広告からの集客数や集客率
これらの指標から成果を測定し、より成果を上げるための改善策を考えます。
例えば、メルマガの開封率が悪ければ件名を見直す、Web広告からの集客率が悪ければ配信内容や配信設定を変更するなどが挙げられます。
RFM分析(Recency〈最終購入日〉・Frequency〈購入頻度〉・Monetary〈購入金額〉という3つ軸をもとに顧客をグループ分けする手法)を行い、最も価値の高い顧客を特定したうえで、アプローチの方法を考えるのも有効です。
データベースマーケティングの成功には、不断の改善が不可欠となります。ただ、データ分析には高度な知識や技術が必要なため、専門家のアドバイスを仰いだり、外部の専門機関に依頼したりするのも一考です。
4. データベースマーケティングの成功事例

データベースマーケティングを実施するうえで参考となる事例をご紹介します。
4-1. ベビー用品のバースデーキャンペーン
ベビー用品を販売するある店舗では、顧客から商品の注文を受ける際に、子どもの出産月をデータとしてあらかじめ取得し、子どもの誕生月になったら親向けに割引キャンペーンを配信するという施策を行っていました。
これまででも十分な成果が出ていましたが、その店舗ではデータを再度洗い直しを行い、受注時に取得した親の誕生日にもキャンペーンを実施。それにより、普段の割引キャンペーン以上の売上を作ることに成功しています。
4-2. ポイントを活用した商品販促
あるフィットネスジムでは、フィットネスを始めた顧客に対して、サプリやプロテインなどの商品を販売しています。
その顧客のうち、事前に取得していた顧客の購入頻度や最終購入日などのデータをもとに、一定の期間、購入していない人を抽出。顧客が購入しそうなタイミングを見計らって先にポイントをプレゼントしたところ、それが購入のきっかけとなり、商品の購入率が向上しました。
事前に取得していたデータをもとに、適切な手段を選んでアプローチしたことで成果につながった、データベースマーケティングの好事例です。
5. データベースマーケティングの今後

最近では、データベースマーケティングにAIを活用するケースも出てきています。例えば、構築されたデータベースから、AIが顧客の嗜好や行動履歴を分析するなどです。
個人情報保護の問題やAIに精通した人材が足りていない課題などが指摘されていますが、データベースマーケティングは今後もますます重要な施策として注目されるでしょう。
6. ECサイトの運営にお悩みなら千趣会にご相談ください

データベースマーケティングは、ECサイト運営に有効な施策です。
一方で、失敗しないためには、複数の注意すべきポイントがあります。
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