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物流ABCとは?算出する際の計算式やメリット・デメリットを解説

2023.09.15

物流ABC 解説図
物流ABCとは、物流コストを管理する方法のひとつで、作業ごとのコストを算出する手法のことです。この記事では、物流コストのメリット・デメリット、算出するプロセスなどを解説します。

千趣会では、発送代行(物流代行)サービス、受注から梱包・発送までの物流業務のトータル代行サービス(フルフィルメントサービス)を提供しています。ベルメゾンなどの自社通販で培ったノウハウをもとに、高品質な物流サービスをご提供します。
物流に関する課題やお悩みがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

目次
  1. 1. 物流ABCとは
  2. 2. 物流ABCの特徴やメリット
  3. 3. 物流ABCを算出するプロセス
  4. 4. 物流ABCのデメリットや注意点
  5. 5. 物流の困りごとなら千趣会にご相談ください

1. 物流ABCとは

Activity Based Costing

物流ABCとは、物流コストの管理手法のひとつであり、作業ごとにコストを計算する方法のことです。ここでいうABCは、「Activity Based Costing」の略であり、「活動基準原価計算」と訳されることもあります。具体的には、1箱の梱包にかかるコスト(作業1時間あたりの人件費や緩衝材などの資材費、作業を行う場所にかかる費用)などを算出します。

物流ABCでは、「人件費」「燃料費」といった項目別にコストを算出するのではなく、「ピッキング」「梱包」といった作業別にコストを算出します。そのため無駄なコストが多い作業の洗い出しをしやすく、コスト削減を検討する際に有効なフレームワークだといえます。

1.1 ABC分析との違い

物流ABCと混同しやすい「ABC分析」という言葉がありますが、それぞれ別のものなので注意しましょう。

ABC分析は、在庫管理における分析手法のひとつです。パレートの法則(「売り上げの8割は商品の2割が生み出している」という考え方)に基づき、商品ごとに売り上げやコストなどの指標を分析し、効率的な在庫管理を検討します。

具体的には、ABC分析を行った後、出荷する頻度の多い商品(優先度が高い商品)をピッキングしやすい場所で管理したり、売り上げが低い商品(優先度が低い商品)の在庫数を減らしたりします。

2. 物流ABCの特徴やメリット

メリット

物流コストには、以下のような3つの特徴・メリットがあります。

2-1. 必要のない作業やコストを明らかにできる

1つ目のメリットは「必要のない作業やコストを明らかにできる」ことです。

物流ABCでは作業ごとにコストを算出するので、コストが大きくかかっている作業を割り出したり、作業のなかで削減すべきコストを分析したりできます。
2-2. コストに合った価格設定を行えるようになる
2つ目のメリットは「コストに合った価格設定を行えるようになる」ことです。

詳細は後述しますが、物流ABCでは、作業別のコストを算出した後、顧客別に必要な作業全体のコスト(「目的別コスト」)も算出します。各顧客の取り引きごとにかかっている費用がわかるので、適切な価格設定を行いやすくなります。

顧客ごとの作業コストを比較することができれば、契約金額の見直しなどにもつながるでしょう。

2-3. 適正な人員配置を行える

3つ目のメリットは「適正な人員配置を行える」ことです。

各作業工程にかかる労働力を細かく算出することで、必要な作業時間を正確に算出できます。これにより過不足なく人員配置を行うことができ、またスポットで発生する作業量の増加などにも気づきやすくなります。短期雇用を活用するなど、必要に応じて効果的な人材採用を行いやすくなるでしょう。

3. 物流ABCを算出するプロセス

STEPと書かれたブロックが置かれたデスク

物流ABCでは、以下の3つのコストを算出します。それぞれの概要と算出方法は表のとおりです。

名称 概要 算出方法
作業内容原価 業務を行ううえで必要なリソース(コスト)のこと 投入している各リソースを作業内容ごとに割り振って算出する
作業内容単価 最小単位の作業ごとに発生するコストのこと 作業内容原価 / 作業の処理量
作業ごとに発生するコストの総体を算出したのち、その値を作業量で除することによって計算する
目的別コスト 各顧客・各取引ごとに発生するコストのこと 作業内容単価 × 目的別の処理量
作業内容単価に対して目的ごとの作業量を乗ずることによって計算する

細かな算出手順については以下で解説します。

3-1. 物流ABCの導入目的を明らかにする

物流ABCを導入する際は、まず目的を明らかにします。目的の例としては、以下のようなものが挙げられます。

  1. ある顧客の商品輸送にかかる人件費を削減する
  2. 大きな作業コストがかかっている顧客を明らかにする
  3. 原価が算出しにくい商品の適正な販売価格を決定する

1のような目的の場合は、必ずしも全ての顧客の作業コストを算出する必要はなく、対象となる顧客の商品輸送にかかっている作業を分析すれば良いでしょう。一方、2のような目的の場合は、それぞれの顧客の作業コスト(目的別コスト)を複数算出し、比較を行う必要があります。

3のケースとしては、副産物やリサイクル資材など、低原価もしくは原価が発生しない商品が挙げられます。このような商品を仕入れて加工し、販売を行う際には、それぞれの工程でかかるコストを綿密に試算する必要があります。

なお、販売価格を値上げする際は、取引先の理解が重要です。物流ABCなどのフレームワークに沿って綿密なコストを算出すれば、信頼度の向上につながります。

このようにあらかじめ目的をはっきりさせると、物流ABCを算出する際にかかる手間や時間を抑えることができます。

3-2. 作業内容原価を明らかにする

目的が決まったら、作業内容原価を明らかにします。作業内容原価とは、業務を行ううえで必要なリソース(コスト)のことです(「作業内容単価」と「作業内容原価」は異なるので注意しましょう)。

作業内容原価をするには、まず「作業内容」と「投入リソース」を明らかにする必要があります。

名称 概要
作業内容 現在の業務全体において必要になっている作業のこと
  • 検品
  • ピッキング
  • 伝票作成

投入リソース

現在の業務全体において必要になっているリソースのこと

  • 段ボールや緩衝材などの資材
  • 商品を管理する倉庫のスペースや賃料
  • スタッフの作業時間や人件費

上記の2つを明らかにしたら、投入リソースを作業内容ごとに割り振ります。例えば、全体のリソースのうち、ピッキングに必要なスタッフの作業時間や、緩衝材の量、倉庫のスペースなどを明らかにし、「ピッキングに必要なリソース」として割り振りします。その後、それらのリソースをコストに置き換え、業務ごとに必要なコストを算出します。

この作業によってわかった「業務を行ううえで必要なリソース(コスト)」を「作業内容原価」といいます

3-3. 作業内容単価を明らかにする

次に、作業内容単価を明らかにします。作業内容単価とは、作業内容原価を処理量で除した値のことであり、各作業で発生するコストを指します。作業内容単価を求めるには、「作業内容原価」と「作業内容別の処理量」が必要になります。

名称 概要
作業内容原価 業務を行ううえで必要なリソース(コスト)のこと
  • ピッキング作業に必要なコスト
  • 伝票作成作業に必要なコスト
作業内容別の処理量 現在の業務ごとに発生している作業の量のこと
  • ピッキング業務における受注行数
  • 伝票作成業務における伝票枚数

上記の2点が明らかになったら、以下の式によって作業内容単価を明らかにします。

作業内容単価=作業内容原価 / 作業内容別の処理量

作業内容単価を求めることで、個別の業務にかかるコストではなく、それよりも小さな単位(各作業工程)にあたる作業のコストを明らかにできます。

3-4. 目的別コストを明らかにする

最後に、目的別コストを算出します。目的別コストとは、作業内容単価に対して目的別処理量(想定される作業量)を乗じた値のことです。

目的別処理量には、任意の値を挿入することができます。例えば、新規で依頼された業務で「100件のピッキング受注行数」が必要になるとわかれば、その「100」の値が目的別処理量となります。

目的別コストは、以下の式によって表すことができます。

目的別コスト=作業内容単価 × 目的別処理量

このように、最小単位の作業コスト(作業内容単価)を明らかにすれば、顧客ごとの業務の作業量(目的別処理量)を乗じて「顧客ごとに必要になる作業コスト(目的別コスト)」を算出できます。

4. 物流ABCのデメリットや注意点

虫眼鏡でチェック

最後に、物流ABCのデメリットや注意点について解説します。

4-1. コストだけでは業務の必要性を判断できない

1つ目の注意点は「コストだけでは業務の必要性を判断できない」ことです。

人件費など、何のための作業のコストなのか綺麗に切り分けられない費用もあります。そのため、コストだけみてリソースを削減した結果、業務効率まで低下してしまう可能性もあります。リソースの削減を検討する際は、コスト以外の面も含めて削減すべきか検討するようにしましょう。

4-2. 作業工程を分割して考えるため、他工程との連動性が見えにくい

2つ目の注意点は、「作業工程を分割して考えるため、他工程の連動性が見えにくい」ことです。

例えば、積載した荷物が滑り落ちるのを防ぐため、梱包作業において防滑剤を使用するケースが挙げられます。防滑剤の使用は、梱包作業において発生するコストですが、荷崩れを防止するなど運搬作業においてメリットがあります。しかし、梱包作業においてのみコストを試算すると、防滑剤を使用する作業の方が割高となり、「防滑剤は無駄」と判断される可能性もあります。

このように1つの作業工程では一見非効率・不経済に見えても別工程で重要な意義がある場合もあります。そのため物流ABCでは、それぞれのリソースが作業全体に及ぼす影響を把握したうえで、コスト削減を検討することが重要となります。

4-3.中長期的な視点を持ち、定期的に試算を見直す必要がある

3つ目の注意点は、「中長期的な視点を持ち、定期的に試算を見直す必要がある」ことです。

作業内容原価の基となる各種リソース(コスト)については、夏季と冬季で大きく異なるものや、月単位で変動が発生するものもあります。そのため任意の一月だけを対象に試算した場合、試算のズレが大きくなる可能性があります。そのためバックデータとして中長期的な視点で試算を行い、変動幅を小さくすることが重要です。

また、定期的に試算を見直す必要もあるでしょう。昨今は燃料・電気代の高騰や、人件費の増加が問題となっています。こうした現代の状況にマッチした対応を行うことが重要となります。

5. 物流の困りごとなら千趣会にご相談ください

会議するビジネスマンたち

物流ABCを導入すると、物流コストの削減を検討する際に役立つはずです。しかし上述したとおり、コスト削減をする際はいつくか注意点もあります。

「具体的にどのような注意点があるのか知りたい」という人はぜひ、豊富な実績とノウハウを持った千趣会にご相談ください。

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