
この記事では、ゼロパーティデータの概要や、ファーストパーティデータなどの関連する用語との違い、ゼロパーティデータのメリット・デメリット、収集する方法とポイントについて解説します。
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- 目次
1. ゼロパーティデータとは

ゼロパーティデータとは、顧客が企業に対して自発的に共有するデータのことです。顧客がアンケートに答えたり、自身のプロフィールを入力したりすることで提供される情報を指します。購入履歴や利用したサイトなどWeb上の行動からは推測できない、経済や行動、心理などに関する詳細な情報と言えます。
ゼロパーティデータを活用すると、企業は顧客のニーズを正確に把握し、効果的なマーケティングや商品開発に取り組むことが可能です。
なお、ゼロパーティデータは、アメリカの調査会社フォレスターが提唱した用語です。2018年に登場しており、比較的新しい言葉であることがわかります。
ゼロパーティデータと関連する用語で、ファーストパーティデータ、セカンドパーティデータ、サードパーティデータがあります。
それぞれの特徴をまとめると、下表のとおりです。
データの種類 | 特徴 |
ゼロパーティデータ | 顧客が自発的に共有するデータ。顧客にアンケートの回答や、サービスにプロフィールを登録してもらうことで得られる情報 |
---|---|
ファーストパーティデータ | 企業が顧客の許可を得て直接収集・追跡したデータ。Webサービス上のクリック操作や顧客の登録情報(氏名や住所など)が含まれる |
セカンドパーティデータ | 企業が自社では取得が難しい情報をパートナー企業などから収集したデータ。例えば、ポイントサービスを提供しているパートナー企業による詳細な会員情報など |
サードパーティデータ | 自社やパートナー企業が保有していない、第三者機関が収集したデータ。国や政府機関が公表しているオープンデータや、リサーチ会社が提供している人口統計学情報や企業情報が含まれる |
ゼロパーティデータが注目されている背景として、Googleが2024年後半からWebブラウザ「Chrome」経由によるCookie(クッキー)のサポートを段階的に廃止する予定を発表したことが挙げられます(参照:Expanding testing for the Privacy Sandbox for the Web|Google)。
Cookieとは、Webサイトを訪れたユーザーの情報が保存されるファイルのことです。Webサイトなどに表示される広告は、Cookieの仕組みを利用してユーザーに最適な広告が配信されるように設計されています。ただ、このCookieのサポートが段階的になくなりつつあるのです。
さらに、2022年4月に改正個人情報保護法が施行され、個人情報の保護に関する規制が強化されました。Cookieの規制もこの影響を受けています(参照:令和3年 改正個人情報保護法について丨PPC)。
こうした背景から、将来的に、Cookieによるセカンドパーティデータやサードパーティデータの収集が難しくなることが予想され、ユーザーの好みが反映されたゼロパーティデータの重要性がより高まっているのです。
2. ゼロパーティデータのメリット・デメリット

ここでは、ゼロパーティデータのメリット・デメリットを解説します。
2-1. メリット
ゼロパーティデータのメリットは以下のとおりです。
- 顧客に的確にアプローチできる
- 顧客への理解を深められる
- 顧客のロイヤルティを高められる
ゼロパーティデータは顧客自身が提供した「顧客しか知り得ない情報」のため、顧客により的確なアプローチができます。。
また、ゼロパーティデータには、企業の商品やサービスに対して、顧客が感じている満足感や不満などの認識も含まれています。その結果、顧客に対する理解を深めることにつながります。
加えて、ゼロパーティデータを収集することで顧客の購買傾向を把握できるため、最適なターゲティングを実施することが可能になり、顧客へのリーチ効果が高まります。顧客が求めるものを提供することで、顧客のロイヤルティ(信頼や愛着)を高めることも期待できます。
2-2. デメリット
ゼロパーティデータのメリットだけでなくデメリットもおさえることで、対策を立てやすくなるでしょう。
デメリットは以下のとおりです。
- 収集する際にユーザーへの対価を用意する必要がある
- ゼロパーティデータを収集するためのコストがかかる
- ユーザーの同意を得る手続きの手間がかかる
- 既存の顧客や広告主からのアプローチに応じてくれたユーザーに関する分析しかできない
ゼロパーティデータを収集する際には、ユーザーへの対価を用意する必要があります。対価については、ユーザーがデータを提供するようなインセンティブを提供することが重要です。例えば、ポイントサービスやプレゼント、特別な割引などが挙げられます。
ただし、インセンティブは、必ずしも金銭的なものである必要はありません。ユーザーが自分の好みやサイズを知りたい場合に、パーソナル診断コンテンツやクイズなどでも、プロフィールに関する情報を積極的に提供してくれるでしょう。
ゼロパーティデータを収集するために専用のアプリケーションを用いるのであれば開発費や、データ収集を呼びかけるためのマーケティング費などのコストも必要になります。さらに、顧客が情報提供するためのコンテンツ企画や制作にかかる人件費や、システム開発費なども挙げられます。
また、ゼロパーティデータの収集には顧客のプライバシーを尊重するために、顧客に対して同意を得ることも必要です。それらの手続きには、メールや電話、Webサイト上でのフォーム入力などがあり、これらを用意する手間と時間がかかります。
加えて、ゼロパーティデータはマーケティングに十分な量を収集することが難しいのもデメリットです。特に新しい市場を開拓するためのマーケティングデータとしては、効果が限定的になる可能性があります。
3. ゼロパーティデータを収集する方法

ゼロパーティデータにはデメリットもありますが、効果的に利用することで自社のマーケティングを効果的に進められます。ここでは、ゼロパーティデータを収集する方法を紹介します。
3-1. ヒアリングを実施する
ヒアリングとは、顧客から直接話を聞いたり意見を得たりすることです。オペレーターが電話などでヒアリングを実施し、顧客から同意を得たうえで、質問内容に回答した答えを顧客管理システムに取り込みます。
例えば、サービスのなかでよく利用する機能、解約する場合には理由や理想の価格帯など、目的に合わせた質問をして顧客に答えてもらいましょう。また、LINEやInstagramなどを利用したチャットコマースなども有効です。
3-2. セルフアンケートで回答してもらう
セルフアンケートとは、顧客に「簡単なアンケートに答えていただければ、お客様に適した商品やサービスをご案内できます」などのメッセージを送信し、顧客の情報を収集する方法です。Web上でのアンケートや、郵送による調査などを用いるとよいでしょう。
3-3. SNSを活用する
ユーザーに、自身のSNSで自社の商品やサービスに関する情報を発信してもらうことも有効です。 利用シーンや使用した感想を把握でき、SNSによる拡散も期待できます。
4. ゼロパーティデータを収集する際のポイント

ゼロパーティデータを収集する際のポイントを解説します。
4-1. 顧客の手間や負担を軽減して適切な回答を促す
質問の回答時間や回答数を考慮し、顧客の負担を最小限に抑えることが大切です。そのためには、カスタマージャーニーの設計が求められます。
カスタマージャーニーとは、顧客がサービスを受けるプロセスのことです。顧客が質問に対して、正確・スムーズに回答できるような仕組みを作ることが重要と言えます。
4-2. データを収集する目的や結果を提示する
ゼロパーティデータ収集する際には、顧客の不安や不信感を解消して、前向きな回答を得るために、データ収集の目的や結果を提示することが重要です。
例えば、新商品開発やサービス向上のためにアンケートを実施しているなどの目的を提示することや、自社HPや会員サイトでデータの結果を発表することがあげられます。顧客の信頼を獲得することは、その後のコミュニケーションの構築につながります。
4-3. 社内で目的を明確にしておく
ゼロパーティデータを収集する目的は、「顧客の声を聴く」のではなく、収集したデータをビジネスの活用などにどのように役立てるかです。既存商品の弱いところを改善したいのか、新商品の開発に役立てたいのか、目的によって聞くべき人や内容、分析方法が変わってきます。
ゼロパーティデータを収集する目的が「顧客満足の向上」だけでは、施策が曖昧になる可能性が高いでしょう。目的を明確にしておくことは、チーム内でも見落とされがちなポイントなので注意が必要です。
5. ゼロパーティデータの活用事例

最後にゼロパーティデータの活用事例を紹介します。これからゼロパーティデータを利用したマーケティングや商品開発を検討している人は参考にしてください。
5-1. 海外雑貨ECサイト
海外雑貨を扱うあるECサイトでは、直近の売上が不調で、その不調理由として優良顧客層の購入が減少していることはわかっていました。しかし「なぜ優良顧客層が購入していないのか?」が把握できておらず、改善アクションにつなげられていませんでした。
そこで、最後の購入から6カ月以上経過している優良顧客にアンケートやヒアリングを実施したところ、優良顧客層がよく利用していた機能が使いにくくなっていることがわかりました。半年前に実施したWebサイトのリニューアルが、新規獲得向けにやや偏っていたのです。
すぐに改善施策を行い、離反している顧客層に機能復帰の連絡をしたところ、数カ月ぶりに離反の呼び起こしに成功しました。
5-2. ファッション通販サイト
あるファッション通販サイトでは、顧客による人気商品の投票を実施し、投票結果をInstagramでライブ配信しました。顧客へのインセンティブを「抽選で数名に自社の好きな商品をプレゼントする」としたところ、SNSでも大きな反響がありました。
アパレル業界は毎年トレンドが移り変わるため、顧客の趣向をいち早くキャッチすることが大切です。このサイトでは、ゼロパーティデータに着目したことで、人気投票を通して顧客が好むカラーやデザイン、素材などファーストパーティデータではわからない趣向データを多く収集でき、仕入れや商品企画、広告クリエイティブ、サービス機能の改善などを実現していきました。
6. プロモーションサービスの利用を検討中なら千趣会にご相談ください

ゼロパーティデータは、顧客の好みや嗜好がダイレクトに反映された情報です。企業がゼロパーティデータをうまく活用することで、マーケティングや施策、新サービスの企画などに役立つでしょう。
ただし、ゼロパーティデータを収集する方法や、収集した後の分析などを導入する手段がわからない企業もいるのではないでしょうか。
そのような場合は、ゼロパーティデータなどの顧客データを利用したマーケティングから受注、納品までのプロモーションサービスを提供している千趣会をぜひご検討ください。
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