トップメッセージMESSAGE FROM THE PRESIDENT

EC主体の市場に則した新中期経営計画で
復活への道筋を明らかにし
黒字化を達成します

2018年度を最終年度とする5カ年の中期経営計画を策定した2014年度時点とは通販をめぐる状況がドラスティックに変わり、端的にいえば、今や「カタログでものが売れない」、かつ通販に限らず「衣料品自体がなかなか売れない」時代となりました。当時の想像をはるかに超えた状況で、いかに利益を出せる体質へと変革していくか――。その道筋を示すために、これまでの戦略、組織、プロセスを総括して問題点を抽出・分析し、2020年度をゴールとする3カ年の中期経営計画を新たに策定・発表しました。不退転の決意をもってこの計画を遂行していきます。

代表取締役社長 星野 裕幸

2017年度業績報告主力のベルメゾン事業の減収により、売上、利益とも減少しました

千趣会グループを取り巻く経営環境は、原材料価格や物流コストの上昇もあり、引き続き厳しいものとなりました。中でも当社グループが得意としてきた衣料品や生活雑貨ジャンルが、急速に進むスマートフォン普及の状況下で売上が鈍化、主力のベルメゾン事業が苦戦を強いられ、減収となりました。これが大きく影響し、2017年度の連結売上高は1,259億99百万円と、前期に比べて2.4%減少しました。利益面においても、カタログ通販の特徴である掲載商品の早期調達、長期販売形態からの脱却を図るために、期末の在庫品セール販売および処分を行ったことにより、商品評価損などが増加。営業損失は42億87百万円(前期は11億94百万円の営業利益)、経常損失は42億6百万円(前期は16億73百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は、減損損失および希望退職の実施に伴う特別退職金により110億90百万円(前期は14億20百万円の当期純利益)となりました。

2017年度はネットを主戦場とする“ネットファースト”への移行を掲げ、在庫回転率を重視したビジネスへの転換や、“ほしい”と思う商品にお客さまを最短で導けるようなシステム面の改善を図ってきました。第4四半期には、そうした対応が功を奏して、お買い上げ率の向上も見られるなど一定の成果を上げることができたものの、ベルメゾン事業が3期連続の赤字となった現状には、業務改革が世の中の変化のスピードに追いついていないといわざるをえず、強い危機感を抱いています。
そこで、あらためて市場や競合他社の状況を鑑みたうえで、当社の戦略、組織・制度、プロセス・システムを整理・分析。浮き彫りになった課題を解決し、黒字化への道筋を明確にするために、2020年度をゴールとする新たな中期経営計画を策定しました。EC主体の市場にあって確実に利益を出せる企業へと再建を果たすべく、取り組みを開始したところです。

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2018年度の目標と施策不採算ジャンルを縮小し、機動力を高め、赤字体質からの脱却を図ります

新中期経営計画の初年となる2018年度は、赤字体質からの脱却を第一として、売上はいったん落とし、営業利益をしっかりと確保していくことに注力します。具体的には、主にベルメゾン事業での不採算ジャンルの縮小や在庫圧縮による利益率改善、カタログの費用削減を中心とした販売効率の改善、さらには人件費やシステム保守費用、その他さまざまな固定費の削減を確実に実行することで、営業利益目標16億円の達成をめざします。
ベルメゾン事業の抜本的改革として、第一に“総合店”から“専門店の集合体”へのシフトを加速させます。具体的には、専門性のある商品を提供する“専門店”単位でビジネスモデルを構築し、損益を含む事業管理を行う形に転換を図ります。ビジネスの敏捷性を高めるには、これら“専門店”ごとの事業管理を担う“店長”に当たる人材への権限委譲が必須となることから、私自身が経営感覚をもった人材の養成に直接携わるなど、力を入れています。

第二に“製造小売”から“企画小売”へのシフトです。これまで“SPA型開発”を掲げるがゆえに、小ロットでの対応が難しく、結果として多くの在庫を抱えるという状況が生じていました。この悪循環を断ち切り、当社本来の強みである“専門性”を生み出す企画力を強化していくことが、何より重要だと考えています。その出発点となるのが、レビューや電話で寄せられたお客さまの声です。当社ではこうしたお客さまの声を一元管理するシステムをすでに導入していますが、2018年度からは同システムをフル活用して未充足ニーズを抽出し、さらにその年のトレンドデータとマッチするものを商品化していくという開発フローを徹底していきます。

第三に集客力・顧客接点の強化です。SEOやキュレーションサイトをはじめとする外部サイトでからの流入強化を狙うコンテンツ・マーケティング、DMP※導入による“個客”ニーズに則した広告内容やメール内容の出し分けなどワン・ツー・ワン・マーケティングの深耕を進めていきます。一方、プロのコンシェルジュが常駐するインテリアショップや、シェフや専門家に学ぶグルメスタジオをオープンするなど、リアルでの顧客接点も開発。新たなファンの獲得につなげるとともに、よりリアルなお客さまの声を商品に反映させていきます。
また、専門店集積型への転換には複数店舗のECを同一環境・システム基盤で実現するECプラットフォームの構築が必要となるほか、スマホアプリの充実による受注拡大、さらにはAI技術の導入による販売効率の改善など、システム投資が欠かせないことから、2018年2月に第三者割当増資による優先株式の発行を決定しました。財務基盤の安定により、新中期経営計画の達成確度を一層高めています。
なお、ブライダル事業は堅調に推移し、保育事業も2018年4月に9つ目の保育園を大阪に開園するなど軌道に乗り、今後はさらに事業間シナジーの創出、向上につなげていきたいと考えています。

※Data Management Platform:データを一元管理・分析し、アクションプランの最適化を実現するためのプラットフォームのこと

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ステークホルダーの皆様へよりタイムリーな状況説明に努め、女性を笑顔にする会社であり続けます

投資家や株主の皆さまには、業績低迷に伴い、大変ご心配をおかけしております。今後、よりタイムリーに状況説明を行うなど、コミュニケーションの質的向上および機会増加に取り組んでいきたいと考えています。また、社外取締役を含めた取締役会の活性化、経営透明性の確保に向けたガバナンスの強化も引き続き推進していきます。
CSRについては、女性への支援、環境活動、コンプライアンスを3つの柱として取り組むことに変わりはありませんが、お客さまとともに行う社会貢献活動「えがおの森」基金では、女性支援・子育て支援という、当社グループの事業活動とより密接にリンクする活動にフォーカスしていきます。
私たちはこれからも「ウーマン・スマイル・カンパニー」として、多様な働き方や生活の楽しみ方を持つ女性たちのそれぞれのライフステージに寄り添い、「気持ちに先回り」した商品やサービスを通じて、女性を笑顔にする会社であり続けます。

代表取締役社長 星野 裕幸