トップメッセージMESSAGE FROM THE PRESIDENT

業績回復を成し遂げるとともに
新たな事業、新たな施策にも挑戦し
「新生・千趣会」を確立します。

当社は1955年の創業以来、頒布会事業、カタログ誌「ベルメゾン」による通信販売事業、妊娠・出産・育児に特化したカタログの創刊など、次々と新事業・新領域を開拓してきました。創業60周年を迎えた今こそ、他社が真似できないことを手がけるユニークな会社への原点回帰を図るべきと考えています。
新生・千趣会としての決意を新たに、EC販売力の向上とSPA型商品をはじめとするオリジナル商品の開発を強化することで業績回復を果たし、新たな事業、施策にも積極的に挑戦できる体勢を整えていきます。

代表取締役社長星野 裕幸
1959年生まれ。1982年に(株)千趣会入社。営業、マーケティング、経営企画などに携わり、通販サイト「ベルメゾンネット」の立ち上げやブライダル分野への進出などで主導的な役割を果たす。経営戦略部長、東京事業本部長、経営企画本部長などを歴任後、2015年3月に常務取締役、同年8月に販売企画本部長、2016年1月に代表取締役社長に就任。

就任にあたって新規事業立ち上げなどの経験を活かして、新生・千趣会を率いていきます。

私は頒布会の営業を10年ほど担当した後、まだECサイトがそれほど一般的ではない時代にベルメゾンネットの立ち上げを主導しました。また、経営企画部に異動してからも、ブライダル事業などのさまざまな新規事業を立ち上げ、軌道に乗せてきました。こうした事業をゼロから立ち上げ、育成するなかで、売上を伸ばし黒字にしていくことはもちろん、仲間の成長を非常に重視してきました。

当社は2015年11月に60周年を迎え、人間でいえば還暦に当たります。つまり、“生まれ変わり”の時期にきているといえます。今でこそ、「千趣会=通販会社」のように捉えられていますが、通信販売事業も創業から21年目に新規事業として始めたものです。現在の事業形態に拘泥するのではなく、その時代時代の女性たちのニーズを掘り起こしていくことが、私たちのまさに本分とするところです。これまでの経験を活かしながら、新生・千趣会として通信販売の枠にとらわれず、女性の役に立ち、なおかつ社会に貢献できる事業であれば積極的に取り組んでいきたいと考えています。また、従業員には失敗を恐れずにチャレンジする姿勢を身に付けてほしいと願っています。活力あふれる職場風土をつくり、彼らの背中を押すことが私の責務であると 認識しています。

また、新しい事業や施策に挑戦するためには、足元をしっかりと固めることが必要不可欠です。私たちの強みは、お客さまの「こんな商品があったらいいのに」という声に応えた商品を構想し、さまざまな技術や素材を組み合わせ、最適なメーカーや工場を選択して形にする、という「お客さま目線の企画力」です。まずはこの強みをしっかりと発揮できる状態を再構築し、2015年度の減収減益要因となった通信販売事業・ベルメゾンを立て直すことで新規事業にも投資できる体勢を整えます。

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2015年度の業績スマホシフトへの対応が遅れたこともあり、売上、利益とも大幅に減少しました。

2015年度の連結売上高は、1,343億21百万円(前期比5.8%減)と大幅に減少しました。
減収要因としては、まず消費増税の反動や円安による消費者物価の上昇を背景に、お客さまの節約志向や慎重な購買行動が続いたことが挙げられます。また、スマートフォンシフトへの対応が不十分だったことも大きな要因の一つです。

スマホが予想を超えるスピードで普及し、若年層のみならず40~50代にまで急速に広まったことで、当社ECサイトにスマホでアクセスする方が飛躍的に増加しました。しかしながら、ベルメゾンの一部ECサイトにはカタログの写真を転用しているため、スマホで見た場合に小さく見にくいという問題がありました。また、個々の閲覧者の興味に対応した商品を目に付きやすい場所に表示するなどの画面パーソナライズも十分ではありませんでした。さらに、ECサイトの制作にリソースを投入するために紙媒体のページ数・部数を大幅に縮小してしまっていたため、カタログによる売上も減少しました。

利益も大幅に減少し、営業損失34億37百万円、経常損失25億40百万円、当期純損失53億7百万円となりました。営業損失の要因の一つは、円安によって原材料価格などが高騰し、原価率が上昇したことです。また、売上不振に伴う在庫品が2013年から積み上がっていたため、それらをセール販売したり、処分したことも影響しています。当期純損失は、これらに加えて減損損失および特別退職金の計上などによるものです。

このような状況ではありますが、配当については当初予定通り、年間配当金は中間配当金(1株当たり4円)と合わせて8円とさせていただきました。

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次期の方針・計画1通信販売事業を建て直し、増収・黒字化を成し遂げます。

2016年度はスマホ対応強化をはじめ、EC販売力の向上を第一に取り組んでいきます。

EC関連の人材は、これまでさまざまな部署に人材が分散していましたが、販売企画本部内にEC企画運営部とEC販売推進部を新設し、人材を集結させました。また、もともとネットだけで通販を展開してきた子会社のモバコレやイイハナなどは、スマホへのシフトにもスピーディーに対応できており売上も伸びていることから、これらのノウハウも結集し、EC販売力をトータルに高めていきます。一方で、カタログについてはページ数・部数を2014年度レベルにまでいったん戻し、売上を確保する計画です。

利益面については、2015年度に在庫処分を進めたことで好転すると見込んでいます。今後は在庫を積み増さないように、オムニチャネル化の推進などによって“売り切る”体制を強化します。さらに、2015年9月に立ち上げた基幹ブランド「ベルメゾンデイズ」においてSPA型の商品開発を推進し、利益率を高めていきます(詳細は特集P17~19参照)。

また、当社では、強みである「お客さま目線での企画力」を高めるために、従来からモニターアンケートやウェブサイトを通じて得られたお客さまの声を活用してきましたが、今後はコールセンターに寄せられた声を蓄積したデータベースからもニーズを拾いだすことで、当社ならではの強みを最大化していきます。
これら施策を推進することで、確実に増収・黒字化を成し遂げます。

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次期の方針・計画2ブライダル事業や保育事業を着実に推進していきます。

少子高齢化を背景として結婚式場の利用者数は減少傾向にあり、ブライダル事業を取り巻く環境は厳しさを増しています。こうした中で2015年度には(株)プラネットワークを子会社として、ワタベウェディング(株)を持分法適用会社としてグループに迎え入れ、日本最大級のブライダル事業グループとなりました。今後、グループの規模を活かし、アルバムや引き出物の内製化などのコスト削減策を推進し、業界での勝ち残りをめざします。また、式場の利用者を通販事業に誘導するためベルメゾンで利用できる「お買い物券」を発行するなど、他事業とのシナジー発揮にも注力します。法人事業においては、引き続き既存顧客の深耕や新規顧客の獲得に取り組み、「通販の業務委託先といえば千趣会」との評価を確実なものにしていきます。

2014年度からの新規事業である保育事業も着実に育ってきています。2015年度には新たに認可保育園2園をオープンし、計4園となりました。2018年度までに計10園とすることを目標としています。
利用なさっているお母さま方や保育士、自治体の方々から高く評価されており、「千趣会だから信頼して任せられる」という声もいただいています。この事業に関しては、もちろん利益を得ることも重視していますが、女性を取り巻く重要な社会課題の一つである「待機児童問題」の解消に寄与し、「ウーマンスマイルカンパニー」としてのプレゼンスを高める役割に期待しています。

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中長期的な戦略海外への販路拡大とシニア層へのアプローチに注力します。

当社は2018年度をゴールとする5カ年の中長期経営計画「Innovate for Smiles 2018」を推進しています。2年目となる2015年度を終えた時点で、現状の業績などを勘案し、連結売上高目標を1,650億円、営業利益目標を50億円に下方修正しました(詳細はP7参照)。まずは通信販売事業・ベルメゾンをしっかりと立て直すことを第一に、「ブランド力強化」「EC販売力強化」「販路拡大」「シニア層獲得」という4つの具体的な重点施策を推進していきます。

特に、少子高齢化の対策として海外販路を拡大すること、そして顧客層をシニアにまで広げていくことが重要だと考えています。そこで、競争力あるプライベートブランド商品を海外他社ECサイトなどでも販売するなどグローバルな販路拡大を図ります。また、シニア層向けのアプローチとして、関連会社の商品企画ノウハウなども活用してシニアの方々にも買っていただける商品の品揃えを強化していきます。

また、2015年度に資本業務提携を締結したJ.フロント リテイリング(株)とのシナジー発揮にも注力します。百貨店事業を核とする同社と連携することで、リアル店舗と連携したオムニチャネルの推進や、プライベートブランド商品の共同開発・相互販売を実施し、販売量確保と原価低減を図ります。

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ステークホルダーの皆さまこれからも女性に寄り添い、ともに歩む企業であり続けます。

2015年6月には、日本版コーポレートガバナンス・コードの運用が開始されました。当社では、スピーディーな経営判断を下せるよう取締役会の活性化を図るとともに、株主・投資家の皆さまとの対話を重視し、その質的向上や機会増大に取り組んでいきたいと考えています。

CSRについては、社内の女性活躍を一層推進するとともに、女性支援を目的とした社会貢献活動にも注力していきます。また、出生率の向上や女性の活躍推進が極めて重要な社会課題となる中、「女性を支える事業を営むことは、日本の未来を支えることにほかならない」との認識に立ち、女性の多様なライフスタイルやライフステージに寄り添い、ともに歩む企業であり続けたいと考えます。

私たちは「ウーマン スマイル カンパニー」として、これからも女性の毎日に笑顔を届けていきます。

代表取締役社長 星野裕幸