上川恵美子さん
今回は「ビーズ&ビーズ シック」4、8、11月のデザインをご担当いただいた、上川恵美子さんにお話をうかがいました。繊細で洗練されたデザインで人気のアクセサリーブランド“ラ・ディーバ”のデザイナーをされている上川さん。マテリアルに徹底してこだわり、大人っぽさの演出と共に、可愛さ・甘さを兼ね備えたデザインを次々に発表されています。
PROFILE 上川恵美子(うえかわ・えみこ)
アクセサリー・デザイナー
大学卒業後、青山にリング専門店をオープン。デザイナー兼ショップオーナーとして、ジュエリーの道に進む。その後、自由な発想が容易にできるビーズの魅力に取りつかれ、世田谷にリボンとアクセサリーのショップをオープン。1995年には有限会社ラ・ディーバを設立。作品はパリで開かれるフーズネクストや、プレタポルテ・プルミエールクラスの展示会にも出展。少なくとも年に2回以上は訪れるという大好きなパリで受けた刺激を、デザインのエッセンスにしている。2001年10月、企画・生産会社サンクセンスを設立。三女の母。

Q.パリが大変お好きだということですが、
 いつもどのように過ごされていますか?


5〜6年前から、パリで開催されるプレタポルテ・プルミエールクラスの展示会に合わせて、年に2〜4度はパリを訪れています。展示会には、アクセサリーをはじめ靴、バッグなど何百もの展示ブースがあり、このブースを見て回ったり、合間をぬ ってはパーツの問屋さんを回ったりして、これから流行しそうなデザインやパーツをチェックしています。また蚤の市にも出掛けて行ってパーツ探しをしています。 どうしても仕事中心のスケジュールですが、早起きして朝食のバゲットやクロワッサンを買いに行ったり、好きなシャンソンのCDを探したり、最も好きな場所の1つであるリュクサンブール公園を散歩したり、プライベートな時間も大切にしています。パリで過ごす時間は、その時その時がすごく充実した時間であると同時に、自分を見つめ直す大切な時間です。
Q.アンティークビーズを探されているそうですが
 最近の”掘り出し物”があれば教えて下さい。


パリから電車で約1時間半のところにトロワという町があり、その町のビーズ屋さんで1920〜1930年代製と思われるとても貴重なものを見つけました。真っ赤なスクエアカットのガラスなのですが、サイドだけが磨りガラス状になっていて、その質感や色は、日本はもちろん今ではパリでも見かけないものでした。そのお店では、壊れかけたアンティークアクセサリーを各パーツにバラして売っていて、真っ赤なガラスパーツもそんな中の1つでした。もとはどんなアクセサリーに使われていたのか今となっては分かりませんが、このパーツを活かしてまた新たなアクセサリーを作り出すのが楽しみです。
Q.今回のデザイン、各種パーツ等でこだわったのはどんな点ですか?

4月のこだわりは花模様が入ったアンティーク風のベネチアンビーズです。これはムラノ島にあるベネチアングラスの工房で自分で探し出したものです。おはじきのような形なので、デザインは変におもちゃっぽく見えないよう、キャッツアイの32面 カットビーズと組み合わせるなどして、繊細で女性らしいイメージを目指しました。
8月は、クロスモチーフからデザインを考え始めました。こだわったのは見るからにクロスというのではなく、立体感があり見方によってはクロスに見えるというデザインにしたことです。透明の氷にひびが入ったようなクラッシュビーズに、色や質感の違う白いビーズを合わせて奥行きを出すと共に、清潔感のある涼しげな表情を持たせました。
そして11月は、得意とするアンティークテイストのデザインに仕上げました。スモーキーなパープル色のアンティーク調チェコビーズは、それだけでも充分に魅力的なのですがより存在感のあるデザインにするためブロンズ色のビーズと組み合わせて深みや重みを出すことにこだわりました。「シック」というテーマにマッチしたデザインだと思います。
Q.三越百貨店で開かれた「ビーズアーティスト展」に
 参加された感想はいかがですか?


毎日3000人を越えるほど多くのお客様にご来場頂き、まだまだ冷めぬ皆さんのビーズ熱を実感しました。今回はアンティークの真っ赤なガラスパーツ(トロワで見つけた例のもの)をジュエリーっぽく仕上げた作品や、天然石を用いて作ったコサージュ程の大ぶりな作品など、シックで大人っぽいデザインを中心に出展しました。中でも、トレンドとして注目度の高いシェル(貝殻)素材と金属製のハートやエンジェル、カギなどのモチーフを組み合わせたアクセサリーは大変ご好評を頂き、販売コーナーでも人気のアイテムとなりました。
Q.ビーズアクセサリーを楽しまれる方々へメッセージをお願いします。

ビーズアクセサリーを作られる方には、作ることそのものが好きな方、作ったものをご自分で身に着けたり、誰かにプレゼントするのが好きな方がいらっしゃると思います。ただ、どちらにしても「このパーツの魅力を引き出したい」とか「これならあの服に似合うかも」「あの人が着けたら素敵そう」など、『活きるアクセサリー』として作ることを意識してもらえればと思います。そうすればきっと感性にも磨きがかかりセンスアップにつながると思います。

【著書紹介】「ビーズ・クチュール]
著者:上川 恵美子
パリと東京を往復するアクセサリーデザイナー上川さんが、「パリっぽさ」をテーマに作品を紹介。どの作品も初心者の方に、楽しんで頂けるよう詳しいレシピが付いています。「BEADCafe」(パリの話でひと休み)のページでは、ガイドブックには、載っていないビーズにまつわる楽しい話を写 真入りでご紹介。アレンジ上手なパリジェンヌのように作ったらすぐ着けたくなるそんな旬のアクセサリーをお探しの方は必読です。
全84ページ 著書:上川恵美子 発行所:(株)日本文芸社 価格:1,200円(税別)