ウーマン スマイル カンパニー senshukai

vol.01 INTERVIEW

今をトキメク輝く女性たち

気がめぐり、笑顔がめぐる。

1972年生まれ。アパレルメーカーに約10年勤め、結婚。一男一女の母となる。30代後半、ご主人の病気をきっかけに薬膳を学ぶ。現在は、ふだんの生活に取り入れやすい薬膳レシピ開発やレッスンを行う。
(An’s care主宰)

  1. [職業] 中医薬膳指導士
  2. 安藤智子 SATOKO ANDO

薬膳茶の甘い香り。ナツメ、クコ、竜眼肉、金柑がガラスの茶器にゆらり。「赤い実には女性に大切な血をつくる働きがあるんですよ」。ここは薬膳料理家・安藤智子さん(43)のダイニング。安藤さんは体を温め、血をめぐらせる効果のあるお茶で出迎えてくれました。

バリキャリから「ふつうの結婚」へ。

20代の安藤さんは、バブル後ではあるけれど華やかさの残るアパレルメーカーに在籍。百貨店で店長を任されたり、セールスコーディネーターとしてメキメキ業績を伸ばしたり。だけど本当は「結婚したかった」とか。当時、仕事と結婚・子育てを両立している女性はごくごく少数派。自身が考えるライフプランとの間にギャップを感じることもあり、29才で結婚。ほどなく二人のお子さんを出産しました。ご主人も製薬会社で研究に打ち込み、夢に描いたとおりの穏やかな家庭を育んでいました。そんな矢先、ご主人の病気が発覚したのです。

薬膳との出逢い。

「2人目の子が1歳の誕生日を迎える頃、主人の肺に影が見つかり、突然ステージ4と告げられました」。製薬会社の研究員だったご主人、治療法は自分で選ぶ、と…。そこで安藤さんは食べものを徹底的に見直すことにしました。「ジュースを作ったり、酵素を取り入れたり、あらゆる方法を試し、出逢ったのが薬膳でした」。まわりの支えもあり、余命3ヵ月と言われたご主人は宣告から1年半永らえました。「こんな話を聞くと誰だって私を可哀相だと思うでしょ?でも違う。私は生きているし、人生を楽しめる。悲しい経験があったからこそ今があるとプラスに捉え、薬膳の道を深めようと決心したんです」。

血がめぐり、気がめぐり、笑顔がめぐる。

お家に薬膳を取り入れた料理が並ぶようになり、一番変わったのは家族の体調。子どものアトピーも、安藤さんの偏頭痛も解消されました。「口に入るもの全てが薬であるというのが薬膳の考え方。主婦なら家族の食医になってほしいし、独身女性なら自分の身体に耳を傾けてほしい。私たちの年代は仕事や家庭で忙しく、自分を後回しにしがち。ファッションやメイクと同じように朝、一杯の薬膳茶を飲むだけで身体は変わります」。安藤さんは毎日の生活に取り入れやすい薬膳レシピ開発やレッスンを通して、女性からまわりの気を明るくしようと伝えます。小5の娘さんも「ママ、今日は元気が出るようにオレンジのスプレー!」と薬膳アロマを楽しんでいるとか。「私、普通の暮らしを夢見てきたんですけどね。普通じゃないことばかり起こって(笑)。普通が一番難しくて大切。どんな時も「進め!」と言ってくれた主人のぶんも人生を楽しみますよ」。

(聞き手・文/村上美香)